出典:宝塚歌劇団公式ホームページ「ファントム」ギャラリーより
宝塚の「ファントム」は、アンドリュー・ロイド=ウェバー版の「オペラ座の怪人」とは別プロダクションのミュージカルです。「オペラ座の地下に住む怪人と、歌姫クリスティーヌ・ダーエを中心とした物語」くらいは共通してますが、ストーリーはほぼ別物。ちょこちょこツッコミどころのある物語ではあるのですが、曲がとても聴き応えがあり割と好きな作品でした。我らがトップコンビ・望海風斗&真彩希帆のふたりが以前から「演じてみたい」と公言していたこともあり、雪組ファン的には「待ってました!」の気分ですよね。まあチケットの取れないこと取れないこと。激戦をくぐり抜けなんとか確保したチケットを握りしめて、観劇の日を心待ちにしておりました。
で、今回の雪組版なんですけど、いやー! 完成度が高い! ツッコミどころが消えたわけではないしいくつか気になる点が残ってはいるのだけど、それでも過去の上演に比べるとかなりキャラ造形やストーリーがしっくり物語に馴染むようになりました。そしてそれ以上に、トップコンビの超絶的な歌の上手さと表現力、それにぐいぐいとひっぱられるように伸びた組子たちの団結力に、雪組ファンとしてただただ感激。作曲家のモーリー・イェストンさんが稽古場見学にきたときに「過去のプロダクションの中でも最高レベル」というようなことをコメントしていて、そのときは「まあ♥ リップサービスありがとうございます」くらいに思っていたんだけど、観たあとは「まじで過去最高レベルのファントムなんじゃないの……?」と真顔で思ってしまいましたよね。どちらかというとビジュアル重視の宝塚だというのに、あまりの歌の巧さに目を閉じて聴き惚れたくなるレベルでした。圧倒的な歌の上手さとその迫力に「劇場で生歌を浴びる」喜びをしみじみ実感しましたし、それはもう物語のちょっとしたアラなど気にならなくなるレベルで、気持ちよくねじ伏せられ、ひれ伏してしまうような作品でありました。近年のヅカ作品の中でも屈指の完成度だったと思います。この生歌をもう一度浴びたい=何度でも通いたくなる、という至福の舞台でした。
ということで総評としてはこのへんまで。
以下はもうオタクの覚書で長くなりますので、分かる方だけ読んでってください。
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