宝塚雪組「20世紀号に乗って」@東急シアターオーブ

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出典:演劇キック

 

いやあーぁぁぁ楽しかったぁぁ!
我らがご贔屓・望海風斗さんが雪組のトップになってからどシリアスな重い作品が続いていましたが、ようやく底抜けに明るいブロードウェイ・ミュージカルの上演ということで楽しみにしていました。しかも期待以上に作品クオリティが高く、大変に幸せで楽しい気分の2週間を過ごすことができました!「毎週末観劇とかチケット取りすぎたかな?」と思っていたけど、結局しにものぐるいで千秋楽のチケットを探して増やす始末。版権都合で映像化されないことが判明していたので、悔いを残すことがないように可能な限り通いました。やーしかし何度見ても笑えて飽きずに楽しめる舞台でした。宝塚ファンとしてだけでなく、ミュージカルファンとしても満足&満腹のクオリティ。ほんとどっかんどっかん笑える最高のコメディでした!

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宝塚花組「CASANOVA」@東京宝塚劇場

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出典:ギャラリー | 花組公演 『CASANOVA』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 

娘役トップ・仙名彩世ちゃんの退団公演、さらに生田大和先生大劇場作品初の一本物(近年では小池先生しかオリジナルの一本物やってませんからこれはだいぶ異例というか珍しいこと)、しかも音楽は全編「1789」のドーヴ・アチア氏が手がけるということで、組ファンだけでなく宝塚ファン的にはチケット発売前から色々と注目度の高い公演でした。まあチケットの取れないこと取れないこと。娘役トップ退団でこの状態では、次に控えている明日海りおさんの退団公演のチケットが心配になる有り様です。

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パルコ・プロデュース「世界は一人」@東京芸術劇場プレイハウス

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出典:【公演レポート】音楽劇「世界は一人」- ステージナタリー

 

ハイバイの岩井秀人が脚本・演出、前野健太が音楽、松尾スズキ松たか子瑛太らが出演、のプロデュース公演。ジャンルとしては音楽劇ということになるんでしょうかね。ハイバイよりひとまわり大きいハコで生演奏も入ってセットもいつもより大きくて、世界観的にもいつもの室内劇よりは少しスケールも大きいのかな、と思いましたが、それぞれの「家族」のあり方の描写だったり、同じ事象でも人の視点の数だけそれぞれ違った記憶があったり、というあたりは岩井節を色濃く感じたりで、そんなに「大きいハコのプロデュース公演だからこう!」みたいな気負いはなさそうに思いました。同じ作家だから当たり前といえば当たり前ですが、ハイバイと地続き感のある物語だったように思います。

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宝塚星組「霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS ~星たち~」@東京宝塚劇場

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出典:宝塚歌劇団公式サイト


ほぼ1年近くぶりの上田久美子先生の演出作品……なのにオリジナルじゃないの!? 昔の作品の再演? と企画概要発表の段階で正直ちょっとがっかりした気持ちもあったのですが。そんな気持ちを抱いてごめんなさい、と素直に謝りたくなるほど、「霧深きエルベのほとり」、すごく良かったです。というか、めっちゃ油断してハンカチも出さずに観てたんですけど、ずるっずるに泣きました。正直なこと言うと雪組のファントムより全然泣きました。まさかあんなに泣かされると思わなかったんですよ……。

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宝塚宙組「群盗-Die Räuber-」@日本青年館ホール

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出典:【公演評】宙組『群盗-Die Räuber-』 -WEBRONZA 朝日新聞社の言論サイト

 

宙組二番手芹香斗亜さんの主演舞台。近年めきめきと男ぶりの上がってるキキちゃんの主演公演ですし、翻訳戯曲作品とはいえ久々に2.5次元じゃない小柳奈穂子先生の作品が見られる〜、と思ってチケットを取りました。「群盗」はフリードリヒ・フォン・シラーの作品で、18世紀のドイツが舞台。貴族の息子カールは、腹違いの弟・フランツの策略で父から勘当されてしまい、盗賊団の投手となって義賊活動を行う。反体制派の英雄として祭り上がられたカールと仲間たちだったが、やがて貴族であることがバレ民衆からも批判され追い詰められてしまう。逃げ込んだ森で出会った青年から故郷の窮状を聞いたカールは、従姉妹のアマーリアを救うために故郷へと戻る決意をする……といったストーリー。

 

さすがにあまり上演されない古い戯曲だけあってか、荒削り感の否めない感じはあるし、ラストも日本の宗教観や死生観からすると「なんでそこでアマーリア死ななきゃならんのん……?」という気持ちにはなるのですが。そのへんのツッコミどころをねじ伏せてくれるのが芹香斗亜さんの座長力、そして小柳先生の演出力、という感じがしました。今回も耳残りするアニソンばりのキャッチーなテーマソングを要所要所で使い、「青春群像劇」として若手ひとりひとりに個性を与えた小柳先生の手腕はさすが座付き作家!これぞ小柳奈穂子!という気がしました。兄弟の愛憎うずまく確執とかオタクの大好きなやつだと思うんですけど、親世代・子世代のそれぞれの確執にそれぞれドラマがあってその辺とても好みでした。「兄上こそ、一体何人殺してきたんですか!」とかあの表情で言わせるのほんとツボすぎて。

 

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ロンドン版「The King and I 王様と私」限定上映@TOHOシネマズ日比谷

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出典:cinemacafe.net「王様と私」NY公演 (c) Paul Kolnik

 

ケリー・オハラ&渡辺謙主演、トニー賞4冠、オリビエ賞も現在6部門ノミネート中というあのリバイバル版ミュージカル、夏の来日公演に先駆けてロンドン上演舞台の映像を上映! というわけで、とるものもとりあえずという感じで見てきました。いや〜良かった〜。作品としては古典という感じでいかにも「古き良き時代のミュージカル」なんですけれども。二幕の劇中劇ちょっと長いな、とか、終盤やたら急展開だな!?とかはありましたけど、キャストの魅力と丁寧な演出にうっとり見とれてまいりました。

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宝塚雪組「ファントム」@東京宝塚劇場

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出典:宝塚歌劇団公式ホームページ「ファントム」ギャラリーより


宝塚の「ファントム」は、アンドリュー・ロイド=ウェバー版の「オペラ座の怪人」とは別プロダクションのミュージカルです。「オペラ座の地下に住む怪人と、歌姫クリスティーヌ・ダーエを中心とした物語」くらいは共通してますが、ストーリーはほぼ別物。ちょこちょこツッコミどころのある物語ではあるのですが、曲がとても聴き応えがあり割と好きな作品でした。我らがトップコンビ・望海風斗&真彩希帆のふたりが以前から「演じてみたい」と公言していたこともあり、雪組ファン的には「待ってました!」の気分ですよね。まあチケットの取れないこと取れないこと。激戦をくぐり抜けなんとか確保したチケットを握りしめて、観劇の日を心待ちにしておりました。

 

で、今回の雪組版なんですけど、いやー! 完成度が高い! ツッコミどころが消えたわけではないしいくつか気になる点が残ってはいるのだけど、それでも過去の上演に比べるとかなりキャラ造形やストーリーがしっくり物語に馴染むようになりました。そしてそれ以上に、トップコンビの超絶的な歌の上手さと表現力、それにぐいぐいとひっぱられるように伸びた組子たちの団結力に、雪組ファンとしてただただ感激。作曲家のモーリー・イェストンさんが稽古場見学にきたときに「過去のプロダクションの中でも最高レベル」というようなことをコメントしていて、そのときは「まあ♥ リップサービスありがとうございます」くらいに思っていたんだけど、観たあとは「まじで過去最高レベルのファントムなんじゃないの……?」と真顔で思ってしまいましたよね。どちらかというとビジュアル重視の宝塚だというのに、あまりの歌の巧さに目を閉じて聴き惚れたくなるレベルでした。圧倒的な歌の上手さとその迫力に「劇場で生歌を浴びる」喜びをしみじみ実感しましたし、それはもう物語のちょっとしたアラなど気にならなくなるレベルで、気持ちよくねじ伏せられ、ひれ伏してしまうような作品でありました。近年のヅカ作品の中でも屈指の完成度だったと思います。この生歌をもう一度浴びたい=何度でも通いたくなる、という至福の舞台でした。

 

 

ということで総評としてはこのへんまで。
以下はもうオタクの覚書で長くなりますので、分かる方だけ読んでってください。

 

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