「1917 命をかけた伝令」

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出典:Twitter @1917_moviejp

 

死ぬかと思った!!!
と思わずフォントサイズ大きくしてしまうくらいビビりました。物語としてはすごくシンプルで、伝令を任された主人公とその友人が敵陣を抜けて味方の別部隊に作戦の中止を伝えに行く……というだけの内容なんですが。ワンカット(に見えるように編集された)映像が話題ではあるものの、まあ途中で意識を失ったりして実際には一晩開けて翌朝まで時間が経過する感じですね。まあそう言っちゃうとつまんなそうに聞こえるかもしれないんですけど、本当に没入感がすごいです。凄すぎて中盤で「これは映画だから大丈夫、大丈夫、私はここで死んだりしない」と自分に言い聞かせないと観続けられないくらいの気持ちになりましたよ。個人的には。

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劇団☆新感線「偽義経冥界歌」@赤坂ACTシアター

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出典:SPICE

いやー中島かずきさんの純然たる新感線の新作っていつ以来ですか、もしかして蒼の乱以来……? 修羅天魔も新作っちゃ新作だけどあれは半分髑髏城だし。やーとにかく「新感線らしい新感線を!観た!」という嬉しい気持ちになりましたね。主役のバカなんだけどカッコいいとこも、悪役のスゴツヨぶりも、キレッキレのアクションも、(そして上演時間の長さも!)「This is 新感線!」という感じで楽しかったです。歌やダンスのミュージカル風シーンはやや少なかったですが、そのぶん殺陣が盛り盛りで「アクション活劇!」といった感じでしたね。歌は物語のキーとなるこの世とあの世をつなぐ静香の歌だけを聴かせる感じで、藤原さくらさんの声が印象に残る作品でした。

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「ジョジョ・ラビット」

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観た人が総じて「良かった!」と言うのであわてて観に行きました。いやー良かった!面白かった!大好き!
ヒトラーの姿をしたイマジナリーフレンドを持つ臆病で心優しいドイツ人少年が、屋根裏に隠れるユダヤ人少女と出会って変化していく……という物語。コメディ映画、というジャンルになっていて、確かに笑える場面も多いのだけど、でもコメディだと思って観るにはしんどい場面もあります。宣伝ビジュアルや予告編からヒトラーをいじって笑い飛ばす系のコメディかなとも思いましたが、その手の笑いではありませんでした。少年の成長を丁寧に優しく描いたヒューマンドラマ、といった印象の物語。予告編だけ観るとユーモア部分が前面に出てるので悪ふざけ感のある作品なのかなと思いましたが、至って真面目で誠実な作品だと感じました。

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「CATS」(映画版)

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かつてないレベルの悪評が渦巻く映画「CATS」ですが、まあ結論から言えば「あそこまで云うほど酷くない、まあまあ観られる、けど、あそこまで言われるのもわからんではない」という感じでした。ミュージカル好き的には吹替え版も観てもいいかなくらいの気持ちではありますが、ただまあ人に薦めたいかといったら微妙……いや薦められないかな……というところです。CATSの舞台観てない人には「映画観る前にまず四季で見てくれ、話はそれからだ」と思いますね……

(いや、正直いうと私も2000年代以降のミュージカルファンなのでCATSにはそれほどハマってはいないのですが。2階後方席から観て「あんまり好みではなかったかなぁ、ストーリーないし……」と言ったら、四季ファンの方が「2階では良さが伝わらない! 回転席とってあげるからそこで観て!」と言うので、2回目をステージから2列目の近距離席でみて「なるほどこれはアトラクション的なショーなのだな」とやっと面白さがわかった……という経験があります)

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宝塚歌劇花組「マスカレード・ホテル」@日本青年館

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出典:日刊スポーツ

 

東野圭吾作品で映画化もされた小説を舞台化。なんというか「宝塚歌劇仕様に魔改造された本格ミステリ」という感じで、実にトンチk……げふんげふん、もとい、別の意味で面白い作品に仕上がっていました。宝塚作品にも「いいトンチキ作品」と「駄目なトンチキ作品(=駄作)」がありまして、そういう意味では大変に「いいトンチキ作品」だったと個人的には思っております。

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ミュージカル「フランケンシュタイン」@日生劇場

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出典:Twitter @toho_stage

 

ゴスな衣装とメイクに惹かれつつも見逃してしまった初演。このたび再演となったので今度こそはとチケットを取りました。作品も未見だし主要キャストも全員知ってるわけじゃないし、Wキャストの組み合わせをどうやって選んだらいいのやら……と頭を抱えつつも、とりあえず歌のうまさには定評がある中川アッキ―と、顔の良さには間違いがない加藤和樹の組み合わせをチョイスしました。

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「パラサイト 半地下の家族」

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いやー、凄い映画でした。面白かった! 各種映画賞を総ナメにするのも納得の内容です。胸がザワザワするようなこの宣伝美術は前からみかけていて、「なんか嫌だなあ、北九州監禁殺人事件とか尼崎連続変死事件みたいなやつなのかな」と思って尻込みしていたのですが、そういう類の話ではなかったです。貧乏な家族が金持ちの家族に少しずつ寄生していく話ですが、この貧乏家族も北九州や尼崎の犯人ほど邪悪ではないので、そこは安心して見ていられました。前半は意外とコメディタッチで笑える場面も多かったです。格差社会を描いてるとはいえ重苦しい社会派ドラマではなく、むしろサスペンス要素たっぷりのブラック・コメディといった感じでした。ハラハラドキドキのエンターテインメントな映画でしたね。

とはいえ、見てる間はジェットコースターに振り回されてる気分で楽しんでいたのですが、見終えて映画館を出た瞬間に襲ってくる「これをエンタメとして消費して本当にいいのか……?」というザワザワした気持ち。笑い飛ばすには貧乏暮らしの描写がリアル過ぎるんですよ……ラストも勧善懲悪なわけでもなく後味が重くて……。しかも見てたのがTOHO日比谷なもんだから、ミッドタウンのちょっとお高めのキラキラしたお店の前を通ってるうちになんかもうすっかり心が滅入ってしまい、イルミネーション輝く地上に降りる頃には気持ちが死んでしまいました。思わず駅と反対方向の東京宝塚劇場のグッズショップに駆け込んでヅカ充することで心を癒やしてしまいましたよね……

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