K.ファウスト@世田谷パブリックシアター

演出は串田和美さん、音楽はcobaさんで、サーカスアーティストが多数登場となればそれはもうきっと楽しい舞台になるに違いない、と張り切ってチケットを取りました。アコーディオン中心の音楽にのせて展開する哀愁ただよう賑やかな見世物小屋風の舞台に仕上がっておりました。

ファウスト役は笹野高史さん、メフィスト役は串田さん。メフィストは邪悪な悪魔というよりはもうちょっと軽妙で滑稽な雰囲気。ファウスト役はいままで観た作品だと若い俳優が老けた衣装でやることが多かったのだけど、さすがに笹野さん、老人役がぴったりハマってる(笑)。そのかわり若返った時はカツラをかぶりメイクをして演じるので、滑稽でもあり、ある種グロテスクでもあり。

私はなぜか幕が開くまで「このキャストから察するにファウストが串田さんでメフィストが小日向さんだな!」と何の根拠もなく確信して、ファウストがたぶらかされる場面を想像していました。なので舞台が進行するにつれ「面白いんだけど何かが致命的に足りない…」と思って、ハタと気付きました。「そうか、このキャスティングにはエロが無いのか!」と。私は決していわゆる「腐女子」ではないのですが、それでもファウストのあの場面はゲイゲイしくあって欲しいのです。ファウストをたぶらかすメフィストの場面にはエロがあって欲しいのです。私が開演前に妄想していたのは邪悪な笑顔で串田さんをたぶらかす小日向さんでした。期待していたエロさがこの舞台には無かったのです。アラウンド還暦なおじさまたちを捕まえて何を妄想してるのだって話なのですが。ええ、さすがに串田さん×笹野さんでエロはないですね…。

休憩明けの二幕冒頭のcobaさんのソロが本当にすばらしく、休憩でちょっとダレかけた気持ちを一気にもり立てて舞台に集中されてくれました。いい演奏でした。

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