松尾スズキひとり芝居「生きちゃってどうすんだ」@本多劇場

松尾スズキさんひとり芝居。ひとり芝居というと多くの作品はひとりの人間を演じることが多いのだけど、この作品は何人かの個性的な人々を描いたオムニバス風な物語。ただ登場人物が語るのは自分のことだけでなく、それぞれあるひとりの男について語っていて、それがラストで登場する100歳の「すずちゃん」なる人物の話になるという構成。

本公演の時のような壮大にドラマティックで業の深い物語というよりはもう少しライトな演出で笑いがメインの舞台のような気はしたけれど、とはいえ終盤に登場する「3.11」の津波、福島という舞台。そして登場人物がそれぞれ「性転換を繰り返した落ち目の歌手」とか「大学教授の座を追われたゲイの彫刻家」とか「ゾンビ専門役者が高じてゾンビ役者のコーディネーターになった男」とか「奇病を抱える人生相談所の男」とか「警察官に憧れてコスプレしてる元ひきこもり」とか、もうほんと「生きちゃってどうすんだ」な業の深い人たちばかり。それでも、どんなにみっともなくても、どんなに情けなくても、どんなに意味がなくても、それでも、生きていく。松尾さんらしいテーマだなあと思った。

冒頭が「性転換を繰り返した歌手」の独白だったので「これはもしかして松尾版ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ…?」と期待したのだけど(苦笑)、そのあとの展開は違った。でもこのキャラ面白かったなあ。バラエティで冠番組まで持ってたのに、人気が落ちたからギャラを下げてもいいから生きていきたいとぶっちゃける、というその口調がまるで美●明宏サマを彷彿とさせる。正直コレで一本見たい気がしたよ。

ちなみにゾンビ役者の場面では映像で大人計画の役者さんたちがゾンビ役で登場。なんという贅沢な!