『横山剣 大座長公演』@浅草公会堂ホール

新春浅草歌舞伎で何度か訪れたことのある浅草公会堂でクレイジーケンバンドを観ることになるなんて誰が予想しただろうか……。3階の安い席のはじっこから見てたんだけど、ちゃんと花道ができてたのにまず驚いた。本気だ。本気で芝居やるんだ。構成も前半ががっつりお芝居で、後半がほぼライブ……というか歌謡ショー。もう完全に演歌歌手主演の「商業演劇」にのっとったスタイル。素敵。

前半の芝居「赤いマイクのあんちくしょう」はプロの俳優さんが中心となる昭和風味な任侠モノ。一応キーパーソンとして剣さんは2割程度の場面に登場、他のCKBメンバーも脇キャラ雑魚キャラとして登場する。演技としては素人であるバンドメンバーの使い方はうまく、ちょっとセリフ言ったり動いたりするだけで会場が大盛り上がり。

オープニングの演出のかっこ良さ(メンバーのシルエットの背後にタイトル文字バーン!)にしびれて「さすがラサール石井さんわかってらっしゃる!」と期待が高まったものの、中盤の芝居パートには正直やや中だるみも感じた。いや、がっつりこの役者さんたちの芝居を見に来たんだったら問題はなかったんだけれども、CKBを見に来た人にとってはメンバーが登場しない場面が長すぎて。脚本もいくつかのエピソードがラストに収束するタイプのやつで、まあ悪くはないのだけど、この手の商業演劇の脚本としたらちょっと凝り過ぎたんじゃないかな、という印象。座長以外のキャラの心情とかそこまでしっとり描かなくてもいいと思うの、座長公演なんだから。みんな座長を見に来ているわけだから。

役者さんは駿河太郎さん(カーネーションで糸子の夫役やった鶴瓶師匠の息子さん)とか石垣佑磨さんのほか元カクスコ井之上隆志さんやラッパ屋の木村靖司さんとか我らが小劇場勢も出演しているのだけど。でもバンドメンバーの登場に大ウケするこの空気であれば、もう少し中盤のシリアスパートに一工夫欲しかった感じ。もっとエピソードや間を刈りこんでさくさくドライに進ませるか、さもなくばもっとCKBメンバーを使うかして欲しかった。

それにもっと剣さんにはもっと衣装替えしてほしい。前半はほぼ「ラーメン屋台のオヤジ」として登場してて、ラストにしかスーツを着ないのですよ。座長公演なのに。座長公演なのに!(大事なことなので二回言いました)そう、座長公演のお約束ならば座長はもっと無駄にお召換してほしいのです。スーツ何着か来て欲しい。などと思ってしまったわけです。せっかくここまで商業演劇スタイルにのっとったのであれば、ここも踏襲していただきたかった。

二部はまあ普通にライブ。一時間くらいだったかな、選曲もちょっと歌謡曲っぽいテイストの曲が多かったかな。「また逢う日まで」「マイウェイ」のカバーなんかもあって、ミラーボールも回ったりして、意外にもCKBの曲は浅草公会堂というハコにしっくり来るんだなあとおもった次第。

原案・プロデュース:秋元 康 脚本:遠藤察男 脚色・演出:ラサール石井
出演:横山 剣(クレイジーケンバンド)
クレイジーケンバンドメンバー】 廣石恵一 小野瀬雅生 洞口信也 中西圭一 新宮虎児 高橋利光 河合わかば 澤野博敬 スモーキー・テツニ 伊達 弦

駿河太郎 石垣佑磨 渡辺 舞 永尾まりや 野添義弘 井之上隆志 木村靖司 小林恵美 福島まり子 上田航平 上松大輔 稲森美優 西條瑠美 長島竜也 西海健二郎 久下恵美 小暮邦明 榊英訓 鎌田麻里名 服部紗弥 吉田亜子 中條圭祐 HOSHIMI MARU ANGELLA ERI 中野英雄(友情出演)

秋元康×CRAZY KEN BANDの超豪華コラボ!!演出にラサール石井を迎え、CRAZY KEN BAND初芝居、横山剣の初大座長公演を演芸の聖地浅草で開催! 芝居とCRAZY KEN BAND LIVEの2幕構成!