大パルコ人2 バカロックオペラバカ 『高校中パニック! 小激突!!』@PARCO劇場

いやーほんと清々しいほどにバカで偏差値の低い芝居でした。宮藤さんのこの手の芝居はいつも腹抱えて笑って爆笑するんだけど、劇場出る頃にはもうなんで笑ってたのか覚えてないっていう。「ものすごく笑ったことしか記憶に残らない」芝居なんですよね、いやもちろん悪い意味ではないんだけど。

物語は近未来の渋谷が舞台。渋谷バスケットボールストリート(=センター街)を挟んで聖ファイヤーバード高校(ヤバ高)とグレッチ工業高校(グレ工)が日々抗争を繰り広げている。グレ高のムカデ(佐藤隆太)は痛みを感じない(正確にはかなり長い時間がたってからようやく痛みを感知する)という特異体質。その幼なじみで常に風邪気味のカゼギミ(勝地涼)はヤバ高に通っていて、地下之チカ(川島海荷)との三人はやがて三角関係に……。といったあらすじ。近未来ヤンキー版ウエスト・サイド・ストーリー。


まあ正直なところあらすじはほぼどうでも良くて。まるで「前髪クネ男」みたいなキャラの勝地くんとセーラー服姿の皆川猿時さんが客席通路から登場、というところから始まって、次から次へと出てくる強烈なキャラクターの人々が歌い踊りギャグを飛ばすというまさに「バカロックオペラ」な作品。少路勇介さんは「小路七兄弟」役で次々とキャラの違う7つ子役を演じているし、三宅弘城さんも「DJボビー」と「沢尻ピリカ様」の二役を演じながらドラムを叩く、という大車輪の活躍ぶり。本当にお疲れ様ですとしか言い様がない。特にカホンをものすごい激しく叩いて叩き終えると倒れるピリカ様がまるでYOSHIKIだったりとか(昔新感線でも吉田メタルさんがやってましたよねこういうネタ)、ところどころ出てくるレ・ミゼラブルのパロディとか(「ブラ破れて」とか「民衆の歌」のパロディが登場)、ところどころものすごいおかしい。

曲も豪華な作曲陣だけあって楽しかった。「高校中パニック!のテーマ」とか「ゆうすけのレクイエム」とか、何度か出てくる曲は多少メロディ覚えちゃって耳に残る。横山剣さんの「ゴキブリTONIGHT」はやっぱりここだけちょっと曲調違うから「あ、この曲は剣さんだな」ってわかるなあ。「高校が違うから」とかちょっとドラマティックの掛け合いのある曲で、いかにもミュージカルの1幕最後に歌われそうな曲(でも最後じゃなかった)。まるで江南スタイルみたいなサウナの曲とかも異常に耳に残って離れない。サントラCD欲しいなあ。

パルコ劇場40周年記念公演 大パルコ人② バカロックオペラバカ「高校中パニック!小激突!!」
http://www.parco-play.com/web/play/bakarock/
作・演出:宮藤官九郎
音楽:綾小路翔上原子友康怒髪天)、宮藤官九郎、小園竜一、坂本慎太郎、富澤タク、益田トッシュ、三宅弘城向井秀徳横山剣クレイジーケンバンド)※五十音順
出演:佐藤隆太勝地涼永山絢斗川島海荷三宅弘城皆川猿時少路勇介、よーかいくん、宮藤官九郎、坂井真紀、綾小路翔