ゼロ・グラビティ

いやー疲れた。どっと疲れた。そして凄かった……素晴らしかった。

ゼロ・グラビティ」は宇宙船の船外作業中に事故があり、残りの酸素も少ない状態の宇宙飛行士が命綱もなく宇宙に放り出されてしまって……という物語。ストーリーはごくごくシンプルながらその描写がハンパない。
「上映時間90分なら短くて楽だなー」と思いながら見に行って、開始15分くらいで「この緊張感がラストまで続くとかマジか……90分とか長すぎて無理……!」と気が遠くなりかけました。IMAX3Dで観ていたらまあ本当に凄まじい臨場感で、まるでジェットコースターに乗った状態が90分続く気分。エンドロール終わって外に出た瞬間「あー酸素って素晴らしい……重力バンザイ……!」と思わず深呼吸してしまうような体験でした。飲み物を買って席についたのに、映画が終わってから「あ、一口も飲んでなかった……」ということに気づきました。そのくらい余裕がありませんでしたよ。

まあ、この映画が気になってる方はもうここでレビューを読むのをやめて、なるべく他のネタバレを見ないようにして、早めに映画館へ行くことをオススメします。できればIMAXシアターか、なるべく大画面で音響のいい映画館で観ていただきたい。「パシフィック・リム」もそうでしたが、これは完全に「体験型」の映画なのでTV画面じゃなくて大画面大音響で味わったほうがいいと思います。4DXとかで見たら振動や風も加わってもう生きた心地しないだろうなあ。心臓に悪そう。


しかしこの映画、ジャンルで言うならどこに当てはまるんでしょうね。宇宙モノという意味ではSFなんですが、現代の宇宙船と宇宙飛行士の状況に忠実な設定のようなので、フィクションとはいえまったくの絵空事というわけではなく「SF」ってのはちょっと違う気がする。主人公の視点で見ると本当にもう「死の恐怖」しか感じないのでそういう意味ではホラー映画だし、ひとつのピンチを脱してもまた次のピンチが襲ってくる、という意味ではアクション映画だし、緊張感的な意味でいうならサスペンス映画だし、主人公の心情的にはかなり劇的な人間ドラマだったりするし。まあほんといろんな意味で計算しつくされた見事な映画でした。


※この下ちょっとネタバレします。


主人公のライアン(サンドラ・ブロック)は4歳の娘を亡くしたという設定があって、今まさに4歳の娘がいる自分としては一気にここで感情移入してしまう。宇宙船ソユーズの中でマット(ジョージ・クルーニー)に娘への伝言を頼むシーンで、もう一気に目の幅の涙が流れてしまいましたよね。「ブラシをかけるのが嫌いな子をみかけたら伝えて」そうそう子供ってブラシ嫌いだよね!「あなたの赤い靴はベッドの下に落ちてたから安心して」そうそう子供ってよくベッドの下にもの落として無くすよね! なんて感情移入して、子供を失った後でベッドの下に赤い靴を見つけた時のライアンの気持ちを一瞬で想像して、もう目から水が噴き出す勢いでした。短いセリフだけどライアンと娘が過ごした日々とその愛情を想像させる内容で、ほんとこうして思い出して書いてるだけでまた泣いてる。マットの幻を見ているという「もうほとんど彼岸の世界」にいながら、生きることへの希望を取り戻す場面、ここのシーンは本当に素晴らしかった……!

http://wwws.warnerbros.co.jp/gravity/#/home
監督 アルフォンソ・キュアロン
脚本 アルフォンソ・キュアロン/ホナス・キュアロン
出演者 サンドラ・ブロックジョージ・クルーニー

極限の宇宙空間で、衝撃と感動の90分!
衝撃的にリアルな宇宙映像!全身を貫く感動!
この冬 最大の話題作『ゼロ・グラビティ
地球の上空60万メートル。
温度は摂氏125度からマイナス100度の間で変動する。
音を伝えるものは何もない。 気圧もない。 酸素もない。
宇宙で生命は存続できない。