雪組「Shall we ダンス?/CONGRATULATIONS宝塚!」@東京宝塚劇場

久しぶりに宝塚作品観に行きました。最後に見たのが青年館作品で、大劇場で本公演見るのは2年ぶり。なんか久しぶりに行くとキラキラした劇場だけで気分が上がりますね……。いつのまにかチケットレスサービスとかも導入されてて「あれ、このプリントしたチケットどうすればいいの?」と入り口でちょっと戸惑ったり。一昔前のぴあのバーコード読み取り機みたいなものが見当たらなかったのでキョロキョロしてたら、普通にモギリのお姉さんが小さいバーコードリーダー持ってて読み取ってくれました。世の中便利になりましたね……。しかしチケット半券を集めてる人にはA4サイズの紙は保管に困りそう。

さて、今日は雪組の「Shall We ダンス?」。周防正行監督作品映画の舞台版。「地味で冴えない中年男」という設定を宝塚のトップさんがどう演じるのかと思ったけど、「冴えなさ」を前面に出してかっこわるく演じるんじゃなくて、高倉健さん的な「不器用」方向へシフトした感じ。中年男といってもちょっと不器用なだけで清々しい清潔感あふれる主人公という印象でした。「少女漫画的な男性像」を目指したとどこかで読んだけど、なるほどなーと。いわゆる「カッコイイ男役」のキザな動きや仕草を封じられても、これだけセンターで輝けるというのはさすがトップさんのオーラは違いますね……。


本来は地味な絵面の作品ではあるものの、オープニングに主人公が夢で見たダンスを持ってきて軍服&ドレスのヅカらしい華やかな衣裳を見せたり、主人公の同僚の目標を妄想として派手なダンスで見せたり、エキシビションの場面では若手男役をズラリと並べてキメキメで踊らせたりなど、上手いこと華やかに見せていました。キャラクターでは主人公の会社の同僚でダンス好きの男性ドニー・カーティス(=映画では竹中直人が演じた役柄にあたる)を演じた夢乃聖夏さんがインパクトありすぎ。声をひっくり返しながらやたらクネクネした動きで「クネ男」と呼ばれるキャラは宝塚的にはかなり型破り。もちろんアフロのカツラも落とします。それでも下品さはなく、キモくなる一歩手前で客席を沸かせていて、舞台に登場すると「次は何をしてくれるのかなー」とついそっちを見てしまうという舞台荒らしぶり。個人的にはもうちょっと振りきれてくれてもいいのよ?と思いましたが、まあヅカ的にはこの辺がちょうど良い落とし所でしょうね。

しかし、この舞台で美味しかったのは壮一帆さんと夢乃聖夏さんのふたりで、主人公の妻役だった娘役トップの愛加あゆさんと、女装(と言っていいのか)して女ダンス教師役を演じた男役二番手の早霧せいなさんはちょっとファンにとっては物足りないところもあったんじゃないかなあと想像。特に早霧さん演じるエラは、最初ヘイリーに対して「私が目当てなら迷惑」みたいなことを言っておきながら、「私が指導します」というまでの心の動きがちょっと唐突な気がしましてね。もうちょっと気持ちの流れが自然に見えたらよかったのになあと。
まあでも全体的にはうまくまとまっていて、ほのぼのした少女漫画的なコメディとして面白く見ることができました。

さて後半のショーは「CONGRATULATIONS宝塚!」、演出は藤井大介先生。宝塚100周年を意識したおめでたい感じ満載のアゲアゲなショーでした。まあベタといえばベタ、な内容ではあるものの、ひたすらアップテンポでパワフルにこれでもかこれでもかと押してくるので客席の温度も上がる感じ。今回は指揮が「踊る指揮者」としておなじみの塩田明弘さんなんですよね……2階席から見てたら、まあノリノリで踊ること踊ること。東宝ミュージカルではよく見てたんですが、宝塚でも振ってたんですね……。両手振り付きで踊ってるとこもあったりして、「指揮者のくせに! どこまで踊るの!」とそっちばっかり気になってしまって銀橋で踊るトップさんの後ろにいる塩田さんに目がいってしまうという。こんなところにも舞台荒らしがいたよ……! 舞台に集中させて……!

http://kageki.hankyu.co.jp/shall_we_dance/
1月2日(木)〜2月9日(日) 東京宝塚劇場

Shall we ダンス?周防正行 原作・脚本・監督「Shall we ダンス?」(アルタミラピクチャーズ)より〜
脚本・演出/小柳 奈穂子

[解説]周防正行原案・脚本・監督による映画『Shall we ダンス?』は、役所広司草刈民代主演により社交ダンス教室を舞台に繰り広げられた、ハートフルコメディの最高傑作。1996年度日本アカデミー賞で13部門を独占、日本中で社会現象を巻き起こし、全米でも多数の映画賞を受賞し大ヒットを放ちました。2004年に公開されたリメイク版のハリウッド映画も、全米トップ10内に長くランクインしています。
 この大ヒット映画の初のミュージカル化に宝塚歌劇が挑戦します。愛する妻もおり、何もかも満たされているはずなのに心のどこかに空しさを感じている主人公は、ダンス教室の窓辺にたたずむ美しい女性の姿に惹かれ、社交ダンスの世界に飛び込んでいく……。「シャル・ウィ・ダンス」を始めとする数々の名曲にのせて、個性豊かなキャストでお届けするロマンティックなドラマをお楽しみください。

『CONGRATULATIONS 宝塚!!』作・演出/藤井 大介

[解説]宝塚歌劇99周年目のラストを飾る宝塚大劇場公演であり、100周年のスタートを彩る東京公演でもある本作品は、記念すべき年を祝い、客席の皆様とも一体となり、明るく華やかに盛り上がるパワフルなショーです。フレンチカンカンやリオのカーニバルなどの世界的に有名な祭りをイメージしたシーンを散りばめながら、宝塚歌劇ならではの魅力を最大限に伝えます。