LEGOムービー

この作品を最初に知ったのは映画館のポスターだったんで、見た瞬間に「子ども向け映画かー」「わあどうでもいい」と正直思ったんだけど(スミマセン)、Twitter上でいい年した映画ファンの評価がやたら高くて気になり始めました。「トイ・ストーリー好きにはたまらない」「オタクは見たほうがいい」などの感想がちらほら見えたので「それって私向けってことですか?」と思い、公開終了直前に滑り込みで見てきました。コマ撮りのストップモーションアニメを期待してたら全部CGでちょっと拍子抜けしたものの、ちゃんとレゴの表面の傷や劣化を表現したこだわりっぷりや、水も波も爆発も煙もレーザーもなにもかもすべてのものをレゴで表現するというすさまじいバカっぷり(褒め言葉)にはただただ拍手。

前半は正直「確かに映像は凄いけど、このストーリーそんなに良いか?」と思いながら見てましたが、世界の謎が明らかになる終盤の展開で、案の定泣きましたよね。うん、これはトイ・ストーリーの特に2が好きだった私にはぐっと来ます。どこが良かったのか、を説明しようとすると一気に完全にネタバレになるんだけど、「そういう話だって知ってたらもっと早く観に来たのになー」とも思ったし、とはいえそれを知ってて見ちゃうと驚きも感動も半減だし、というジレンマ。というわけで以下ネタバレになりますが、未見の方はできれば読まないで!


【ストーリー】
よくある髪型、見たことあるような作業着、どこにでもいそうな顔…。どこをとってもフツーのレゴミニフィギュアのエメットが、どういうわけか、“ケタ外れの能力をもった、世界を救うカギとなる人物”と思いこまれ…。そのせいで、見知らぬ集団に入れられ、おしごと大王の世界征服に立ち向かう大冒険の旅に出るはめに…。 何の覚悟もできていないエメットは、とんでもない騒動を巻き起こすことに!LEGO公式サイトより引用)

というわけでどこにでもいるミニフィグのエメットは様々な世界を旅するわけですが。展開はスピーディでちょっとでも気を抜くとどんどん先に進んでく。上映時間100分とはいえ脚本も画面も情報量多くて気が抜けない。ギャグや小ネタ(ガンダルフダンブルドアのレゴが似てて区別つかないとか)もいろいろあるんだけど、おそらくカルチャーネタや時事ネタっぽいものが多いのかな、この辺全部把握できないのがちょっと悔しい。あと脇キャラなんだけど隙あらば宇宙船作りたがるベニーが可愛くて仕方ない!(いるよね、こういう子ども。他のみんなはおうちとか作ってても空気読まずに宇宙船作りたがる子……)で、どうやら最終兵器は「スパボン」という名前であること、そこから世界を救うのがひとつの赤いブロック=「奇跡のパーツ」であること、スパボンによる最後の日の後には「タコスデー」がやってくること、ひとつの世界の果てにある壁を壊すと、その先にあるまったく別の世界に移動すること……という伏線があり。

めまぐるしく展開する冒険の果てに、このレゴワールドはあるひとりのレゴマニアなお父さん(=実写)がオタク部屋いっぱいに秩序正しく組み立てたレゴ作品であることがわかる。エメットたちの冒険はそのお父さんの息子による子供らしい想像力を駆使した妄想だったことも。ここからは実写による親子の物語とレゴの世界が同時並行で展開。「おしごと大王=お父さん、エメット=息子」という暗喩もあり、つまり入れ子構造によるメタ物であったというわけ。すべてを終わりにする「スパボン」はお父さんのスーパーボンド。作品を固定してしまうために使うもの。それを阻止する「奇跡のパーツ」はスパボンの蓋であった、という種明かしがあり、自分の作品作りを邪魔されたくなかったお父さんも最終的にはスパボンに蓋をして自由に遊びたい息子と和解し、レゴワールドには平和が訪れる。キッチンからはお母さんの「今日はタコスデーよ」の声が聞こえて謎もすべて解明、すべてはめでたく大団円……と思いきや、お父さんは最後に言う「お前をこの部屋に入れるということは、もうひとり(妹?)にも解禁するということだ」。そしてエメットたちの前にさらに無秩序なレゴ生命体が現れる……というオチ。

もう、オタク母としてはこのお父さんの気持ち痛いほどわかる。「対象年齢は8〜14歳って書いてあるよ」「そんなの何かの都合で書いてあるだけだ」みたいな会話があって刺さる刺さる。私は自分のトイ・ストーリーフィギュアを娘に与えても「なくさないでよぉぉ」「エイリアンはちゃんと点呼とってブリスターパックに戻してぇぇ」などとあくまで自分のおもちゃであると主張するバカ母なので、スパボン使いたいお父さんの気持ちよく分かるもの。でもあくまでこれは子どものおもちゃであって飾るものじゃない、子どもが想像力で遊ぶものだよ、という「トイ・ストーリー2」と共通したテーマに、思わずほろ苦い気持ちで「すみませんごめんなさい」と心でつぶやいたり。でも自由に遊びたい息子の気持ちも元子どもとして当然わかるから、ふたりが和解する場面には思わずほろり。

子ども目線では身近なおもちゃのレゴが冒険するシンプルでわくわくする物語であり、大人の目でみると親子の和解を描いたメタ構造の物語であり、レゴでできた世界のスケール感に感心できる映像であり。うん、これは楽しい映画でした。