ジョンソン&ジャクソン「窓に映るエレジー」

ナイロン100℃大倉孝二&元猫ニャーのブルー&スカイによる新ユニット「ジョンソン&ジャクソン」の旗揚げ公演。旗揚げ公演といっても前にナイロン100℃のサイドセッション(番外公演)の『持ち主、登場』がありましたので、まあ実質二本目の公演にあたる感じでしょうかね。以下、ネタバレありますので未見の方はご注意ください。

電車に揺られ車窓を眺める男と盲人、妹の結婚式のためにデパートにスーツを買いに来た男、デパートの試着室に住んでコツコツと金を貯める女性店員、文房具店ですれ違う逃亡者と刑事、広島ヤクザに追われビルになる女と男の逃避行、露出狂から妹を守ろうとする兄、マンションの最上階で窓からの夜景を自慢する女……。などなど、最初はナンセンス風味のショートコントが続く展開なのですが、だんだんそれぞれのエピソードがひとつの物語に収束していきます。最終的には露出狂の被害者だった女子高生と、妹を守るために刑務所にいくことになった兄を軸にしたやるせなくも叙情的な物語のストーリーが浮かび上がり、ラストシーンはタイトル通り「高層マンションの窓に映る、エレジーの歌と演奏」で幕を下ろすのでした。

ブルー&スカイさんの作品はちょっとご無沙汰していて10年ぶりくらいに見ました。昔の作品はナンセンスな設定がさらにどんどん逸脱してデタラメになっていく印象だったのですが、今回は最初はかなりデタラメでシュールな笑いに見えるコントが、終盤ちゃんとまとまっていく、というのが(コント作品としてはよく見る手法なのですが)逆に意外でした。「ちゃんとストーリーになってる! ブルースカイ作品なのに!」という驚きですね。村岡さんや成志さんが出てるせいもあって、ちょっと真心一座の「流れ姉妹 たつことかつこ」を思い出すテイストだったりもしました。どこか物悲しい、ブルージー&エレジーな雰囲気。何曲か歌&演奏シーンもあったりして、ある意味音楽劇の体でもあったり。

まあしかしこの手のナンセンスな笑いをやらせたら大倉孝二村岡希美池谷のぶえの三人はもう、ほんと上手い。下手な人がやったらクスリとも笑え無さそうなギャグをズバズバ決めてくれますね。私あんまり劇場で声を出して笑わないほうなのですが(楽しんでいてもニヤニヤする程度で声に出して笑うとこまでいかないことが多い)、今回は結構笑わせてもらいました。ただ正直もっとデタラメな頃のブルースカイ作品が好きだったので、最後キレイにまとめられちゃったのが正直物足りなくもあったりしましたね。それにしても池谷さんの声の良さときたら……変な歌詞にもかかわらず聴き惚れてしまいますね。

ジョンソン&ジャクソン「窓に映るエレジー
http://cubeinc.co.jp/stage/info/jj.html

出演:大倉孝二、ブルー&スカイ、村岡希美池谷のぶえ、菊池明明、川原一馬 、池田成志
作・演出:ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ)
音楽:The Dubless(魚澄直希 原田亮)
照明:関口裕二(balance,inc.DESIGN)
音響:水越佳一(モックサウンド
映像:上田大樹(&FICTION!)フジタヨーヘー
衣裳:畑 久美子
演出助手:さいとう篤史
舞台監督:Stage Doctor Co.Ltd.

舞台写真あり:
大倉孝二×ブルー&スカイ「ジョンソン&ジャクソン」第1回公演『窓に映るエレジー』が開幕 - 2014年7月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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