「GODZILLA ゴジラ」IMAX 3D版


日本版ゴジラ映画は実は見ていません。が、今回コレをわざわざ映画館で見ようと思ったのは、やはりレジェンダリー・ピクチャーズ製作の怪獣映画「パシフィック・リム」がどうかと思うくらい面白かったからでしょうか。あとはまあ渡辺謙さんが主要キャストとして出ているというのも大きかったのですが。

で、感想はひとことでいうと「脚本的には不満もあるけど、演出がとにかく素晴らしい!」って感じでした。おそらくこのギャレス・エドワーズって監督さんは相当な怪獣フェチなのでしょうね。ゴジラに対する畏敬に溢れた演出の連続で、かなりシビレる場面が多かったです。怪獣映画とはいえ怪獣以外の描写は相当にリアリスティックなので、どっちかというと前半は災害パニック映画的な雰囲気。原発事故や津波など3.11を思わせる場面や、MUTOによる被害が圧倒的すぎて絶望的な気分になる場面もありますので、ちょっと精神的にウッと来るところはありました。が、怪獣が出てくるとむしろホッとするというか、「あ、これは娯楽映画だったな!」と一気に気分が切り替わりまして、ゴジラvsMUTOのバトルシーンは、心の中で大喝采しながら楽しむことができました。(以下、ネタバレありますので未見の方はご注意ください)
ゴジラが出てくるとみせかけてMUTOが出てきたり、なーんだと油断してるところへゴジラが出てきたり、その絵の見せ方がなんともまあフェティッシュだったり。電気系統がやられて飛行機が次々に落ちてくる場面の絶望感とか、主人公たちが作戦で飛行機から市街地に降下する特攻シーンの覚悟や緊張感もすごく良かった。もう、演出っていう意味ではほんといちいちツボを押さえていて素晴らしかったです。ギャレス・エドワーズ監督はまだコレが長編映画2作目ってのが信じられないくらい。ゴジラのあの咆哮の場面なんてもう、歌舞伎座なら一気に大向うがかかるような大見得でしたね、最高に決まってた。バトルシーンでも終盤にゴジラが尻尾でMUTOをビルに叩き込むところとか、MUTOの口をこじ開けてアレする場面とか、もう、「キャー!ゴジラ様!抱いて!」っていうくらいのカッコよさですよ。パシリムもそうだったんだけど、怪獣の重量感がとにかくすごくて迫力満点でした。

ただまあ不満もあるにはあって、最終的にMUTOが破壊者でゴジラはそれを倒すヒーロー、の構図になっちゃうのがなんかなー、と。あと、メリケン映画にありがちな「日本の描写」が案の定リアリティ無いのも……(だいぶ頑張ってはいたけどそれでもビミョー)。そして、何より、期待していた謙さんがね。常に驚愕&苦悩を表す口半開きの表情で眼鏡外すシーンばっかりで……なんていうか……役立たず(ぼそっ)……というか……。い、いやいや、「長年ゴジラを研究してきた彼だもの! 後半で何か驚くような打開策を打ち出すのは彼に違いない!」とか思って見ていたら、提督の作戦に対して「ミサイルはだめだ」うん、そうだね。ここまではいい。でも「怪獣同士が相打ちで倒れるのを待とう(意訳)」……って、何もしないんかーい!おーい!ってズッコケましたよね……。前半であれだけリアリティたっぷりに核問題とかに問題提起しておいて、ラストでゴジラが完全にヒーローになって海に戻っていく落とし所、一体どうなんだ、とちょっとモヤモヤーっとしました。

あと、もちろん意図的なんでしょうけれど、MUTOのオスとメスが出会った瞬間キスするの、「この人間的な描写……必要……?」と思いました。だってその後にMUTOの卵が焼き払われる場面で、やっぱり母親目線で「やめてぇぇー!せっかく産んだ卵があーーー!」ってなっちゃいますもん……メスMUTOが卵焼きに気づいてギャー!ってなる場面にも思わず同情してしまったり。奴らはもうちょっと動物的にして感情移入させないでほしかったなあ……それが単純な勧善懲悪映画に陥ることを避けるためだとしても。

まあ怪獣映画としてはだいぶ盛り上がったので総じて楽しめましたが、映画館の大スクリーンと重低音スピーカーあってこその映画だなーという気がしましたね。3D感はそんなに重視してなさそうなので2Dで十分かなと思いますが、できるだけ大きいスクリーンとスピーカーの良いハコで見たほうが絶対に楽しめると思います。どうせ見るなら追加料金払ってでもIMAXとかドルビーアトモスとかで見たほうが良いですよ!あと立川シネマシティさんでは通常料金で爆音上映やってるそうで、これは楽しいんじゃないかと思います。このためにスピーカー追加したら、ビルの一階で地響きがするというから相当な音量なんでしょうね……

ゴジラ GODZILLA
http://www.godzilla-movie.jp

監督:ギャレス・エドワーズ
脚本:マックス・ボレンスタイン、フランク・ダラボン、デヴィッド・キャラハム、ドリュー・ピアース、デヴィッド・S・ゴイヤー
原案:デヴィッド・キャラハム
音楽:アレクサンドル・デスプラ
撮影:シェイマス・マクガーヴェイ
編集:ボブ・ダクセイ(英語版)
原作:東宝株式会社
製作会社:レジェンダリー・ピクチャーズ、ディストラプション・エンターテインメント
配給:ワーナー・ブラザーズ東宝
出演者:アーロン・テイラー=ジョンソン渡辺謙エリザベス・オルセンジュリエット・ビノシュサリー・ホーキンスデヴィッド・ストラザーンブライアン・クランストンほか

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