ナイロン100℃「社長吸血記」@本多劇場


出典:twitter公式アカウントより

はー、やってしまった。
この作品、すごく面白かったんだけど台風直前の猛烈な低気圧にやられて中盤で一部寝落ちしてしまった……。大雨で服は濡れてるわ、それが蒸し暑い客席で暖められるわ、そこへ気圧が急降下中で身体が猛烈にしんどいわ……といった複合要因でうかつにも集中力が途切れてしまった。悔しい。つまんない芝居だったら寝ても悔しくないんだけど、ちゃんと面白いなーと思って見てただけに低気圧を呪います。うう。
というわけで、もしTV放映などあったらまたちゃんと見返して書き直したいのですが、とりあえず観られた範囲でメモ。舞台は荒れた雑居ビルの屋上。ビル内のオフィスに務めるサラリーマンやOLたちが、散らかったゴミの中で昼食を食べておしゃべりしているところから物語は始まる。KERAさんの演出作品ではすっかりおなじみとなったオープニングタイトルのプロジェクションマッピング、今回もすごくカッコいい。以前はOPタイトルのカッコよさは新感線がダントツだと思っていたけれど、ナイロンが追い抜いたと思ってもいいのかも。

設定こそなんてことないサラリーマン物に見えるけど、価値観がズレた世界を見てる気持ち悪さがある。派手にわかりやすく狂ってるわけじゃなくて、じんわりと染み出してくるような得体のしれない狂気と不条理さ。作劇や演出もそうなんだけど、役者さんたちが技術的にも上手くて主宰の意図を正しく汲める集団でないと、こういう「うっすらと狂った悪夢のような世界」を作るのは難しいだろうなあ。この劇団だからこそできる作品だというのをヒシヒシと感じました。

終盤のクライマックスシーンの演出も良かった。台詞はなくスローモーションの動作だけ、ゴッホの「星月夜」みたいなタッチのモノクロ背景映像がセットの形にあわてて投射されてて、淡々とした音楽にあわせて展開するという一連のシーン。すごく絵画的で美しい。でも残酷。

はあ、それにしても体調が悪かったせいで完全に途中のパズルピースが抜けてる感じ。もう一回ちゃんと観てリベンジしたいけど日程的にキビシイなあ。映像収録ありますように……。

ナイロン100℃ 42nd SESSION「社長吸血記」
http://www.sillywalk.com/nylon/schedule.html

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅弘城 大倉孝二 みのすけ 喜安浩平犬山イヌコ 峯村リエ 村岡希美 皆戸麻衣/水野小論 猪俣三四郎 小園茉奈 大石将弘/鈴木 杏 岩崎う大(かもめんたる) 槙尾ユウスケ(かもめんたる) 山内圭哉

2014年9月26日(金)〜10月19日(日) 下北沢 本多劇場
10月25日(土)、26日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
10月28日(火)、29日(水) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
11月1日(土)、2日(日) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場