インターステラー(2D字幕版)

予告編を見た時は「……ノーランにしては地味な……」「てか、これアルマゲドン的な話……?」となにかこう期待が持てない感じだったのですが、観た方からの大絶賛が聞こえてくるのでやっとこさ観に行きました。日本のアクション大作だと予告編ってだいたい「いいとこ全部出しちゃいました」「金かけたとこは全部予告編に出てます」みたいなのが多いんですが、いやもうインターステラーについては出し惜しみもいいとこ。本当に冒頭の導入部分しか予告に出てこなくて、本編の面白いとこをまったく出してないという。中盤に結構重要な役でマット・デイモンが出てるにもかかわらず、公式サイトですらほとんどそれに触れてないとか、もう、してやられた感でいっぱいです。
映画ポスターとかも親子愛の感動を全面に出した地味ーな絵ヅラなんですが、蓋を開けてみればいかにもノーラン監督らしい複雑怪奇な設定とそれをわかりやすく映像化して娯楽作品として展開する鮮やかな手腕。確かにあの時空を超えた親子愛については涙も止まらないのですが、「何も親子愛なんていうシンプルなテーマを描くためにここまで遠回りしなくても!」というくらいの、壮大な世界観に半ば呆れ顔(いい意味で)にもなります。

科学的な専門用語やら相対性理論やらワームホールブラックホール特異点とかその辺の用語についてはSFに疎い私にはちゃんと分かっていない部分もありますが、まあ話の展開から「要は時間の流れ方が違うのね」とかなんとなく設定を推し量ることはできるつくりになってます。ただまあ私も正直あの立方体空間で「時間をも行き来できる高次元の存在」とかまで言われちゃうともう「えっもうそれ言ったらなんでもアリやん……」と思わないでもなかったですが。ただまあ軽い気持ちで「親子愛の泣ける映画なのね?」とSFだと思わずに見に来たお客さんにとっては置いてけぼりな気分を味わう可能性もありそうな気がしましたよ。

しかしロボットのTARSとCASEの可愛さときたらね。人型ロボットじゃないし動き方も特殊なのに、ラストまでくると「TARSかわいいよTARS」ってなってました。

まあしかしSF好き、映画好きの方には割と絶賛されてる気がするのですが、クリストファー・ノーランの作品で言うと「インセプション」のほうが個人的には好みかなーと思いました。いや、面白かったんですけどね。


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町山智浩 クリストファー・ノーラン『インターステラー』を語る