マッドマックス 怒りのデス・ロード

マッドマックスってあれでしょ、北斗の拳みたいなやつでしょ? と最初は正直あまり興味なかったのですが、「見ると頭が悪くなる」「言語野を失う」「登場人物に九九を最後まで言えそうな人がひとりもでてこない」「暗黒シルクドソレイユ」だのといった感想の数々がTwitterのTLに踊っていて話題騒然。(参考:MAD MAX FURY ROAD 感想 - Togetter)観た人がほぼもれなく大絶賛していたので、気になって観に行きました。ちなみにシリーズ前作はすべて未見です。
やーしかしこれは確かに観た後に「脳みそを座席に置き忘れてきた」気分になる映画でしたね、言語野の脳細胞が確実に破壊されるというか。暴力! アクション! カーチェイス とほぼそれだけで構成されていて、息つく暇無しノンストップでひたすら改造車が砂漠を走り続けるだけの約2時間。本当に観た直後は「ヒャッハーーーーー! 殺す!」って気分になってしまって、まともな感想をTwitterに投下することもままならないほどの思考低下ぶりでした。もうほんとあの予告編のテンションで2時間疾走するし、しかもほとんどCG使わずにスタントで撮ってるっていうから、頭がおかしいとしか言い様がない。

そう書くと本当に頭の悪そうな映画のように聞こえますが、そう見えてちゃんと作りこまれてるんですよね。冒頭で描写される設定がほぼビジュアルだけなのにものすごいインパクト。完璧に構築された世界観があるからこそ、登場人物それぞれの生き様がほぼ台詞ナシでも映像描写だけでちゃんと伝わるのがスゴイところ。テーマもストーリーもしっかりあるのに、何も考えず頭を空っぽにして観られる、言葉で解説せずに絵だけで伝える潔さ。いや素晴らしい。

とにかくインパクトあるのはイモータン・ジョー一味の追手軍団。なにあれ! マックスを車の前にしばりつけてその身体から直接血を抜いて自分に輸血するニュークスとか、火を噴くダブルネックギターのギタリストと太鼓叩きを積んだドゥーフ・ワゴンとか、まさにシルクドソレイユかってくらい棒高跳びの棒みたいのにくくりつけられてぶいんぶいんと左右に揺れながら攻撃してくるヤツとか、もう何もかもが過剰なまでに狂っていて吹き出しちゃうこともしばしば。ドゥーフワゴンのギターの人とか、解ってても出てくるたびに爆笑しちゃうし。

それにしてもシャーリーズ・セロン演じるフュリオサのカッコいいこと。義手、坊主、目の周りの墨、といった出で立ちなのにとにかく美しく力強い。マックスを演じるトム・ハーディとだんだん信頼を深めていく(でも恋愛感情じゃない)ってところもすごくいい。フュリオサが逃亡を手助けするジョーの妻たちもみんなキレイでカッコイイし、後半に登場する鉄馬のおばちゃんたちもかっけえ。「女性の映画」って評もなるほどなーと思うほど、女性キャラクターがどれも魅力的なのが良かったなあ。

世界観の解説についてはもうこちらのレビューが大変素晴らしいのでこちらを読んで下さいとしか。
ケアと癒やしの壮絶ノンストップアクション〜『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/

監督:ジョージ・ミラー
脚本:ジョージ・ミラー、ブレンダン・マッカーシー、ニコ・ラサウリス
製作:ジョージ・ミラー、ダグ・ミッチェル、P・J・ヴォーテン
製作総指揮:イアイン・スミス、グレアム・パーク、ブルース・バーマン
音楽:ジャンキーXL
撮影:ジョン・シール
編集:マーガレット・シクセル
配給:ワーナー・ブラザーズ

出演者
トム・ハーディ
シャーリーズ・セロン
ニコラス・ホルト
ヒュー・キース・バーン
ロージー・ハンティントン=ホワイトリー
ゾーイ・クラヴィッツ
ライリー・キーオ
アビー・リー・カーショウ
コートニー・イートン
ネイサン・ジョーンズ