キングスマン


公開前はまったくノーマークだったのですがTwitterのTLでやたら評判がいいので、ガマンできずに赤子を旦那にお願いしてレイトショーで観に行きました。キック・アスのマシュー・ヴォーン監督の新作なんですね。スパイ物、アクションがすごい、スーツがカッコイイ、くらいの前知識は入ってましたが、予告編の動画も観ずに劇場へ向かいました。

いやー、一言でいえば楽しかった。そしてまっさきにツイートしたのが「メガネ!スーツ!メガネ!スーツ!傘!」だったり(←頭悪そう)。「マッドマックス怒りのデスロード」が「一見バカ映画に見えて実は緻密で壮大な神話」だとしたら、「キングスマン」は「スタイリッシュ・アクションの皮をかぶったバカ映画」だなー、とそんなことを思いました。
ロンドンのサヴィル・ロウにあるテイラー「キングスマン」、その裏の顔はスパイ組織――という設定。キングスマンのエージェントとして死んだ男の息子・エグジ―は、下町で貧しい暮らしを送っていた。ある日エージェントのハリーにスカウトされてスパイ学校へ入り、厳しい訓練を受ける。一方ハリーたちキングスマンの組織は、IT長者ヴァレンタインの歪んだ野望と対峙していた……と、ざっくり言うとそんな物語。

まあこの映画の見どころはやはり「キレッキレのアクションシーン」、これに尽きるでしょう。コリン・ファースが高級スーツとメガネの出で立ちで見せる立ち回りがまあ、ほんと見事。前半の「バー・ファイト」YouTubeでも見られますが、これはまさに序の口で、後半の教会のシーンはさらに輪をかけてスゴイ、そして乱れ髪もセクシー! 敵を羽交い締めにしながら拳銃ぶっ放す場面とか、うっかり「あの羽交い締めにされる人になりたい……」とか思ってしまうほど。この教会のシーンだけおかわりするために劇場に行きたいくらいです。まあこっちもYouTubeで探すと観られるんですけどね。ネタバレもいいとこなので一応リンクははらないでおきます。

もちろんもう一人の主人公・エグジーがクライマックスで見せる敵地での潜入アクションもカッコイイし(傘もってズザー!のあのポーズしびれるー)、ヴィラン側の義足の女性、ガゼルのアクションもどれもカッコイイ。刃物シャキーンシャキーン言わせながら歩きたい! そして傘や万年筆、靴や指輪に武器を仕込んだスパイグッズがまた楽しい。昔のスパイ映画みたいで厨二心、もとい子供心がワクワク。近年のスパイ映画ではすっかり影をひそめたこの手のバカバカしい小物類がたくさん出てくるのがいいです。

てな感じでものすごーく楽しんだんですが、好きか嫌いかでいうと素直に「大好き」とはいえないのもまた事実。とにかく罪のない人も大量に死ぬ映画なので、万人に「面白かったよ!」と薦められない感じではあります。前述の教会のシーンも、コリン・ファースのカッコよさの一方でえげつない死に方するモブが多く、正直なところそのへん片目をつぶって見ないとキツい、という場面でもあったりします。飛行機での機内放送ではこの教会シーンすべてカットされてるそうですが、まあそれも仕方なかろうなあと。毒がいささか強すぎるし、悪趣味といえなくもない場面もありましたね。キル・ビル1作目が好きな人とかなら多分楽しいだろうなーとは思うのですが。R15だしおそらく地上波では放送されないのでしょう。

まあそれでもレイトショーで何も考えずに見てストレス解消したい、という今の気分にはぴったりだし、メガネ&スーツという私の二大大好物をたっぷりと堪能できたので、心の底から満喫しました。はい。