コードネーム U.N.C.L.E.

ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション、キングスマンに続いての今年のスパイ映画第三弾。この後に真打ちの007スペクターが控えてるわけですが、どれもこれも評判良いようですね。この「コードネームU.N.C.L.E.」は60年代のスパイドラマ「0011ナポレオン・ソロ」の映画化らしいですが、ドラマの方はさすがに生まれる前なので未見です。「監督がガイ・リッチーだし、評判良いようだし観ておくかー」くらいのテンションで映画館に向かいました。

スパイ物黄金期とも言うべき東西冷戦の時代が舞台。そうそう、昔マンガの「エロイカより愛を込めて」が好きで、この時代の冷戦スパイ物って大好物だったんですよね。冒頭に「よくわかる東西冷戦」的なイントロダクションが入るのは若い人向けなんでしょうね、そうだよなあ若い人はあの一触即発の空気とか知らないんだよなあとオバサンはちょっと年取った気分になりました。冷戦が終わった時はああ良かったこれで核戦争にはならないだろうと思いつつも、「これからのスパイ物はどうなってしまうんだろう」とそういう意味でちょっと残念に思った記憶があります。

まあしかしいちいちいちいち演出や会話が小粋でオシャレ。それはもう鼻につくほどのシャレオツっぷりで、なんかもうやり過ぎて時々腹立たしさ混じりの苦笑いをしてしまうレベルです。女たらしのCIAエージェントと生真面目な堅物KGB工作員のコンビが、最初殴り合いのケンカしながらもだんだんお互いを信頼して任務に挑むとか、ああもうそれ設定だけで美味しいやつじゃないですかーと思っていたけれど、実際そのパワーバランスもうまいこと描かれてて面白かったです。ナポレオン・ソロがボートで逃げまわるイリヤ・クリヤキンを眺めながらサンドイッチ食べてて「おいー!お前!」と思ってたらその後の展開ね!あれ良かったなあー。あとイリヤの時計にまつわるエピソードも好きでした。絶対来る、と思ってたけどここでかー!ってなりましたよ。それはもう監督の思う壺にズボズボハマった感が否めなくて悔しいくらいですが。

ナポレオン・ソロのヘンリー・カビルさんもイリヤ・クリヤキンアーミー・ハマーさんもそりゃあ文句無しにカッコいいのですが、ギャビー役のアリシア・ビカンダーさん&ヴィクトリア役のエリザベス・デビッキさんの女性陣もゴージャスでカッコ良くて実に男前。痺れるわー。衣装も美術もクラシカルでオシャレで眼福です。しかしイリヤはあんなに短気で怒りっぽくてはスパイに向かなさそう。普通の会社員でもあそこまでキレやすかったら使い物になりまへんで……。

しかしまあラストが「チーム結成! 俺たちの戦いはこれからだ!」的な終わり方なので、ここから先が本編だろうとワクワクする内容なのですが、どうも続編が頓挫したとかなんとかいう噂が。もったいないのでぜひ続きをお願いしたいところですねえ。