シネマ歌舞伎「ワンピース」

初日が開くまでは「ワンピースを歌舞伎って……大丈夫? 事故らない?」と不安9割でなかなかチケットを取る気になれずにいたのですが、蓋を開けてみれば大好評だったスーパー歌舞伎2「ワンピース」。結局見に行く機会を逸してしまったのでシネマ歌舞伎で見てきました。
いくらスーパー歌舞伎が上演時間4時間以上あることが多いとはいえ、あの登場人物も多くて長いエピソードをどうまとめるんだ……と思ったら、ルフィの物語を中心にして麦わらの他のメンバーのエピソードはわりとざっくりカットされていましたね。舞台をさらにシネマ歌舞伎では半分近くカットしてるので、場面ごとナレーション処理でカットされてるところも多々ありました。まあ確かに映画館で見るには二時間サイズってほんと助かるし転換の間延びする時間とかもないのでこれはこれで見やすくて良いと思いました。

しかしまあ散々上演中の感想で聞いてはいましたけど、隼人くんと巳之助くんが実に!いい!ふたりはこの公演でがっつりとファンを増やしただろうなあと思いました。原作愛ゆえですかねえあの再現度。隼人くんのサンジのポーズがいちいち決まっててカッコイイし、巳之助くんはゾロのかっこよさももちろんなんだけどボンちゃんがね!もう最高よね!表情がもうほんと原作そのままって感じだし、そんなコミカルな役にも関わらずものすごい気迫の六方で花道をひっこんでいくあの場面、実に歌舞伎らしくて素晴らしかったです。

猿之助さんのルフィは、まあ、うん……しょうがない。ゾロやサンジの再現度に比べると「んー」という感じではありましたけれど、誰がやってもルフィは難しいだろうし、やっぱりセンターに立って集客する座長である以上ある程度動員が見込める人でないといけないしねえ。他に適役がいるかっていうとそうでもないし。ただまあ正直、やっぱり2.5次元モノってやる以上は原作は読んでて欲しいなあっていうのはあります。「原作を読まずに全体のバランスを見る人は必要」っていうのはわかる、わかるんだけどそれは別に演出助手とかスタッフがやってもいいと思うんだー。やっぱり演じ手には原作愛をもって登場人物そのものになりきって欲しいなあ、と、個人的にはそんなことを思いました。