君の名は。

公開当初から絶賛がTwitterに流れてきて、あれよあれよという間に興行収入は大ヒット作のシン・ゴジラを追い抜き、それどころか過去の歴代ヒット作をもぐんぐんと追い抜いて、年末には歴代ベスト2となった超ド級ヒット作の「君の名は。」公開2ヶ月後くらいに子連れ鑑賞OKの「ふれあいシネマ」での上映があったので観てきました。
男女の心と体が入れ替わる、ってもうやり尽くされた物語だと思うんですけど、まず冒頭から「ウワー絵がキレイ!」ってまず単純にそこに驚きましたよね。三葉の住む田舎の自然の風景も、瀧くんが住む東京の都会の風景も光の使い方がすごく繊細で上手くて美しく見える。そんでもって絶妙のタイミングでRADWIMPSの曲がかかってテンポ良く展開する導入部。そらもうMV観てるような目と耳の心地よさで、「あーこれはヒットするの分かるわ!」ってなりましたよね。しかも描かれているテーマが「予め失われた魂の片割れへの喪失感」を思わせて、ああこれヘドウィグ・アンド・アングリーインチとか野田地図とかで観たやつ……誰もが共感しちゃうやつ……って思いながら観ていました。

(ここからネタバレになるので未見の方はご注意下さいね)

いよいよ瀧くんの方が思い切って行動を起こして三葉を探しに行くと、実は三葉の住む村は三年前の隕石墜落で多くの死傷者を出し、今は湖の底に沈んでいて、リアルタイムで入れ替わっていたわけでなく、三年の時を経て入れ替わっていたことを知ります。一方三葉は隕石墜落から町民たちを守るために幼馴染の克彦や早耶香たちと力を合わせて奔走。三葉は悲劇を回避できるのか?というのが後半のクライマックス。この三年のタイムラグがあるのはなんとなくネタバレをどこかで見かけてしまっていたので「ああーこれはネタバレ知らずに観たかったなー」と思いましたけれど。

三葉たちの奔走で奇跡的に悲劇は回避できたものの、その時点からするすると組紐が解けるように「入れ替わり」の記憶を失ってしまう瀧と三葉。ふたりは出会えるのか、そしてお互いに気づくことができるのか……というのがラストの見所でした。途中までは面白く観ていたのですが、このラストの展開が完全に偶然に頼っていたのがちょっと個人的には醒めてしまったポイントでもありました。奇跡は奇跡なりに、SFはSFなりにこじつけでもいいから理屈が欲しいというか、伏線を張った上でのミラクルであって欲しかったなあと。「君の名は。」をラブロマンスとして観てる層にはこれで良かったのかもしれませんが、SFとして観てたのでもうちょっとロジカルな展開が欲しかったなーとそこだけがちょっと残念でした。

あと口噛み酒が出てきたところで「ウワーこれ『もやしもん』で見たやつ!ていうか『監督が変態』と言われてるのはこういうことかー!」って正直思いました。うん、あの酒にまつわる部分だけは正直ちょっと引きました。なんかもっと別のマイルドなアイテムでも良かったでしょうよー。

まあ「大ヒット確定」後に観ていたので全体的にちょっと点が辛くなる部分はどうしてもありますよね。評価が定まらないうちに試写とかで観てたら細かい不満には目をつぶって絶賛してただろうなとは正直思います。あと、もっと若い頃に観てたらきっとハマっただろうなーとちょっと思いました。私が若い頃に観た岩井俊二ウォン・カーウァイにハマったような感覚(今思い返すとちょっと恥ずかしい)で、きっと若い子はこれにハマるだろうな、とそんなことを思いました。

さてここからは映画本編とは無関係ですが、109シネマズの「ふれあいシネマ」、いいですね! いままではTOHOシネマズの「ママズクラブシアター」をよく利用していて「ふれあいシネマ」は初体験だったのですが。シアター入り口にオムツ替えシートも置いてあるし、客席前にクッションマットとおもちゃも用意してあって遊べるようになってるし、シネマポイント会員は1300円で観られるし、しかもその大人1名の料金で子どもの座席も無料で押さえてくれる、つまりペアシートが親子でまるごと使える、など、ママズクラブシアターにはないサービスがいろいろありました。ママズクラブシアターにもこのサービスあればいいのに!と思いました。TOHOさんに要望を送ればいいのかな……