宝塚雪組「私立探偵ケイレブ・ハント/Greatest HITS!」


出典:宝塚歌劇団公式ホームページ

前半のミュージカルはハードボイルドな雰囲気の探偵モノ。舞台は20世紀半ばのLA、私立探偵のケイレブ・ハント(早霧せいな)とジム(望海風斗)、カズノ(彩風咲奈)は探偵事務所を営んでいる。ケイレブが撮影現場で亡くなったエキストラの女優の死を追ううち、ケイレブだけでなくジムやカズノが調べていた案件もすべてマックス・アクターズプロモーションという芸能事務所に関わっていることに気づく。一方、ケイレブはスタイリストとして働くイヴォンヌ(咲妃みゆ)と付き合っていたが、お互いに忙しく関係はなんとなく停滞状態。ケイレブはマックス・アクターズプロモーションの社長・マクシミリアン(月城かなと)が全ての事件の黒幕であることを突き止めて本人と対峙するが……といった内容。
オープニングの群舞はカッコよかったのでこれは期待できるか……!と思ったのですが。トップコンビは出番も充分にあって見応えあるものの、二番手三番手が「トップのお友だち」ポジションで一番面白みのないやつだったのがちょっと残念。一二三番手が仲良くわちゃわちゃしてるところを見られるというお楽しみはあるものの、一方であまり感情の動くしどころがないのが物足りなくもあり。敵役のポジションはいつもなら二番手だいもん(望海)がやるような役柄ですが、今回で組替えとなる月城かなとが担当。まあ組替え前なので花を持たせてあげた感じなんでしょうかね。ただまあこれも敵陣にひとり乗り込んでピンチ、みたいな場面でどうするのかと思ったら、冒頭で身元引受人になってやって元戦友がいきなりその類稀な狙撃の腕でマクシミリアンを射殺……という展開なので、「えっ なにそれ 雑ーーー!」と思ってしまいましたよね。まあちぎみゆ(早霧&咲妃)トップコンビの大人な恋愛モノは楽しめたのでそこは良かったのですけれど。個人的にはいまひとつ物足りない感じのお芝居でした。

さてショー「Greatest HITS!」は聞き慣れた往年のヒット曲を詰め込んだショーで、楽しく観ることができました。12月にクリスマスソングのレビューなんて楽しくないわけがありませんものね。まあひとつ不満があるとすれば「ゴーストバスターズ」の曲が出て来るんですが、クライマックスでオバケを銃で倒す展開に「演出家は新作見てないんじゃないの、そこはホルツマンの二丁拳銃やる場面でしょ!?」って思ったことでしょうかねー。あと、前情報でベートーベンの「運命」で歌い踊ると聞いてたのでそんなに驚かなかったんですが、あの曲で踊るってのもなかなかに狂気な発想でございますね……。

終盤もたいていは大階段で黒燕尾群舞→デュエットダンス→フィナーレ、のパターンが多いかと思うのですが、デュエットダンス→黒燕尾群舞→トップコンビ+男役二番手のトリデンテでダンス→フィナーレ、という珍しいパターンで、「おお……」と思ったりしました。だいもん(望海)ファンとしてはこれは嬉しい。

しかし雪組は今がまさにピークの充実期という感じがしましたねえ。まあ私がたまたま5番手くらいまで顔と名前を覚えたからそう感じるだけかもしれませんが、路線男役がみんな魅力的で「ああ!どこを見たらいいのかわからない!」とオペラグラスが忙しい状態に陥っておりました。