十二月大歌舞伎「二人椀久/京鹿子娘五人道成寺」


出典:朝日新聞デジタル

今月の歌舞伎座の三部は舞踊二本立て、どちらも玉三郎さんがメインなので「玉三郎舞踊公演」みたいな感じでしたね。舞踊について書くのはちょっと勉強不足で言葉が足りないので、簡単に感想だけ。
「二人椀久」前に仁左衛門さんで観たかなー、お相手は玉三郎さんだったか孝太郎さんだったか……。今回は松山太夫玉三郎さん、椀屋久兵衛が勘九郎さん。遊郭の松山太夫に惚れ込んだ椀屋久兵衛が、放蕩の限りを尽くしたが故に親族によって座敷牢に監禁され、それを抜け出して人気のない浜辺をさまよい歩く、そこへ松山太夫の幻がやってきてふたりで舞い踊る……という設定にまずちょっとツッコミたい。「キャバ嬢に入れ込んだモテない男の妄想……?」みたいな。まあいうてもカッコいいんですけどね、久兵衛。幻とはいえしっとりとしたラブラブな舞踊で、まあ玉三郎様のあいかわらずの美しさ。「ああー! もう! キレイ! 玉様が! そしてエロい! ああー!」って頭の中で叫びまくりながら観てたので、うっかり心の声が漏れていたらたいへん煩かったんじゃないかと思います。

「京鹿子娘五人道成寺」五人。五人て!ってなってついチケット買っちゃいましたよね。玉三郎菊之助の「京鹿子娘二人道成寺」がそれはもうたいへんに美しく百合百合しくて、ヤバいものを観ている感が半端なかったわけですが、それが五人……!って。まあ華やかでとても見応えはあったんですけれど、結論から言うと増えればいいってもんじゃないな、って感じでもありました。二人道成寺はやはりふたりの白拍子花子が対等のポジションだったからこそ緊張感も美しさもあったわけで。五人になると一気に「トップ(玉三郎)さんとその他4人」の構図になってしまうんですよね。玉様の出番も減ってしまうし。3階席から観ていたので、立ち位置がちょっとズレるとそのフォーメーションの甘さが気になってしまうのもありました。歌舞伎座だとバミリとか無いんでしょうかね、「ああ、立ち位置を、揃えて……!」と思ってしまうのは私がヅカファンだからですかそうですか。考えてみれば数十人がきっちり等間隔に並んで踊るヅカのフォーメーションは凄いんだな……。

まあ勘九郎さん&七之助さんがふたりで踊る場面なんかはそれなりに百合百合しさもあって良かったんですけれど、玉三郎菊之助の二人道成寺を超える感じではなかったかなーと。まあしかし玉様の美しさは言うまでも無いんですが、七之助さんの色気と美しさ、あれヤバいですね、4人の花子の中でも頭ひとつふたつ抜けてる感じ。ああもう本当にいい女形になったなあー!とそんなことを思いました。玉三郎さんと七之助さんの二人道成寺が観たいです、いっそ。そして楽前だったせいか舞台写真がだいぶ売り切れていました、とほほ。たぶん売り切れたところに玉三郎勘九郎七之助のスリーショットとかあったんでしょうね……しょぼん……としながらも、つい七之助さんのお写真買ってしまいました。ああキレイ。