宝塚星組「スカーレット・ピンパーネル」

久しぶりの再演!というわけで楽しみにしておりました。星組での初演、月組の再演ともに観ていて大好きな作品なのです。とにかく曲がいい。ワイルドホーンさんの作品の中で一番好きかもしれません。ストーリーはややご都合主義っぽいところがなくもない……と思っていましたが、去年ブロードウェイの脚本をベースにしたオリジナルに近い日本語上演版を観たらもっとツッコミどころ満載だったのでびっくりしました。ほとんどドタバタコメディに近いレベルでの間の抜けたストーリー展開を観てしまった後では、「宝塚版はなんてストーリー運びが自然なんだ……小池先生の潤色素晴らしい……」とすら思ってしまいますね。ま、それはさておき。

物語はちょうどベルサイユのばらで描かれた革命の直後くらい。あらすじはこちらでご確認を。フランスの革命だのギロチン処刑だのと血なまぐさいシリアス感と、 イギリス貴族社会の能天気で平和な空気が交互に描かれていく感じです。三角関係のラブストーリーあり、恐怖政治に抵抗する反政府ヒーローの痛快さあり、という感じでとてもタカラヅカらしくワクワク観られるストーリーです。演出面でも民衆の殺伐とした群舞あり、宮廷の舞踏会の華やかな群舞あり、と、群舞好きとしてはとても楽しい作品であります。改めて演出家小池先生の交通整理の巧みさと、流れるように淀みない舞台転換のスムーズさに舌を巻きましたね。あれだけの人数を舞台いっぱいに埋めて動かして、あれだけのシーン数があるのにまったく観客にストレスを感じさせないスピーディな転換、素晴らしい……!と思いました。

初演再演と大きく変わってるのはロベスピエールのソロ曲が追加になったことでしょうか。これも去年の日本語上演版では二幕冒頭にあったナンバーでしたが二幕中盤に自然な流れで挿入されていましたね。初演再演では脇役のひとりだったロベスピエールがちょっと目立つ三番手のポジションに来ていました。前はマルグリットの弟アルマンとかのほうが大きいポジションだった気がするのですが。

さてこれがお披露目となる紅ゆずるさん&綺咲愛里さんのトップコンビ。前半で結婚式あり、色々こじれつつも最後に大団円、で「ああーいい披露宴を観たなー」「幸せのおすそ分けをもらったなー」みたいな気分になりましたね。礼真琴さんのショーヴランはちょっと宣伝写真より前髪が減っててより男臭い感じに。「あれー宣伝写真のほうがカッコよく見えるなー」と思ってしまいましたが、しかし過去の恋人への執着を切なく歌いあげる「君はどこに」のナンバー聴いたら「ああーもうーショーヴランのおばかさん!」って一気にそれまでの敵役のしつこさを許してしまいたくなってしまったり。どうしても後半ちょっと間抜けでラストがちょっと気の毒に見えてしまうショーヴラン、美味しい役なのか損な役なのかいつもわかりません。

まあしかしどうしても過去に観たバージョンのスカピンを思い出してしまうので、過去の好きなキャストに脳内変換して観てしまったりするのですが。そうすると
パーシー  :安蘭けい
マルグリット:安蘭けい
ショーヴラン:明日海りお
アルマン  :明日海りお
みたいな意味の分からないことになりますね。自分でもちょっと混乱。