ザ・グレイテスト・ショーマン




はー! 良かった! 面白かったです! 好き!
Twitterには書きましたが、ひとことで感想まとめるとこうです↓
『「グレイテスト・ショーマン」は真面目にストーリーを追うと色々とモヤモヤポイントがありますが、初めから「これはストーリー仕立てのショーである」と思って観ると「すごい!最高!満点!」ってなります。』

公開前にいささかマイナス評価な評判が聞こえていたので(主に主人公が主催する見世物小屋のあたりとか)、ちょっと心配していたのですが、そのへんの描写はマイルド&ポジティブになっているので、「実在のP.T.バーナムの逸話」と切り離してこの映画単品として観る分には、まあ問題ないかと思います。アメリカでも批評家筋では賛否半々のようですが、観客の評価は高いようですね。聴き応えのあるナンバーもたくさんあるし、その演出がいちいちよくて、ミュージカル好きにはたまらない映画でした。私「ラ・ラ・ランド」の一曲目からいきなり泣くタイプのミューオタなんですが、この「グレイテスト・ショーマン」もストーリー云々よりも楽曲とショー演出の良さで泣く、というナンバーが何曲かありました。

あらすじ(最後までネタバレしてますのでご注意を)。
貧しい仕立て屋の子バーナムはお屋敷のお嬢様チャリティと出会い、手紙のやりとりで仲を深め、大人になって結婚し貧しいながらも幸せな家庭を作る。バーナムはどんな仕事も長続きしなかったが家族を幸せにするという目標のため、詐欺同然の手口で借りた金を使い見世物小屋を立ち上げる。批評家からはこき下ろされ町の住人からも批判されていたが、一座の評判を聞きつけたバッキンガム宮殿から招待される。バーナムは上流階級からも評価の高い劇作家のフィリップを口説き落として仲間に引き入れる。フィリップは空中ブランコのアンと恋に落ちる。バーナムはバッキンガム宮殿で出会ったスウェーデンの歌姫・ジェニー・リンドをNYに招いて興行を行い成功を収める。しかし一座のメンバーを上流階級の社交場から締め出したことで彼らは憤る。さらにバーナムは一座をフィリップに任せて、ジェニーのアメリカツアーを行おうとし、家族とも気まずい雰囲気に。ツアーの途中でバーナムはジェニーの誘惑を拒むが、このことでジェニーはツアーをキャンセルするといい、公演のカーテンコールでバーナムに「別れのキス」をして去る。このキスが新聞にのり、チャリティは実家に帰ってしまう。一座も反対派の人々と衝突して劇場に火を付けられ、建物は全焼し、アンを助けようとしたフィリップも大怪我を負う。バーナムは何もかも失って酒場で項垂れていたが、一座のメンバーに勇気づけられやる気を取り戻す。妻との関係を修復し、フィリップが貯めていた金を元手に野外のテント型サーカスを立ち上げ再出発。大成功ののち、サーカスもフィリップにまかせ、家族との時間を大切にした……というお話。

冒頭いきなりヒュー・ジャックマンが歌い踊るシルエットからの「The Gratest Show」の場面を観ただけで「ああ〜これ私が好きなやつ〜、ありがとう大好き〜!」って思いました。予告にもあったからクライマックスのナンバーかと思いきやこれいきなりオープニングなんですね。、「冒頭からこれかよ!」ってなりました。子どもバーナム&子どもチャリティの歌う「A Million Dreams」も耳残りのいい名曲。一曲歌い上げるうちに細かいすったもんだをすっ飛ばして一気に物語を進めてしまうのもミュージカルの良いところ。細けえことは良いんだよ!

小人症の男性、入れ墨だらけの男性、多毛症の男性、巨人症の男性、髭の生えた女性、結合双生児の兄弟など、バーナムの立ち上げたショーは悪くいうと「フリークス・ショー」。この辺が今の価値観的には受け入れがたく、この映画のセンシティブなところだと思うのですが、映画の中では「世間から隠すべき存在として家族にも扱われてきた”ユニークな”人々が、この興行で初めて社会に出て居場所ができた」「一座は家族である」というニュアンスで描かれています。バーナム自身もジェニーの興行の後は社交場から彼らを締め出したりして差別的な扱いをする場面があって「おいー!」とは思いますが、それでも全体的にはあまりネガティブな雰囲気では描かれていません。ちょっとこの辺「きれいに描きすぎかなあ」という気がしなくもないし、避けては通れない部分とはいえ賛否別れるかなという気は確かにします。倫理的にOKかNGかっていったら今の価値観では完全にアウトですし。あと1曲歌ってるうちにほんと細けえことすっとばしてゴンゴン話が進んでしまうのも、ミュージカル好き的にはなんら問題ないとこですが、「おい! そこちゃんと描けよ!」ってなっても不思議はないかなーという気はしますね。バーナムの短所をウヤムヤにしたまま全体的に色々美化して大団円を迎えてる印象はあるので、まあ批判の声があるのはわからんではないです。私もマイナス面の情報を知らずに観てたら「え?これいいの?そこんとこあんまり深くつっこまないまま進んじゃうの?」って思ってたでしょうし。

とはいえ。とにかくショーの描写が圧巻! サーカス場面の演出はダンスもキレッキレで楽しすぎて目がたりないほど。バーナムがフィリップを口説き落とす場面のふたりのやりとりのナンバーのコミカルな演出も楽しいし、フィリップとアンが空中ブランコで歌う恋のナンバーも実にドラマティックで美しい。アン役のゼンデイヤは吹替スタントなしであの空中ブランコやったんですってね! すごい! とにかく目を引く美しさと強い眼力。そしてなんといっても髭女レティ・ルッツが歌う「This is Me」のナンバーの力強さに号泣。さきほども書いた2曲目の「A Million Dreams」やジェニー・リンドの「Never Enough」などしっとり系のナンバーも聴き応えあり。何もかも失ったバーナムが再起する「From Now On」もヒュー様歌い上げナンバーでアガるやつでした。ああーサントラ欲しい!

楽曲もいいし、大人数ナンバーの振付&演出も最高だしで、なによりヒュージャックマンの歌とダンスがかっこいい!ミューオタ的にはとても楽しめる映画でした! 何度でも観られます!






あっそうだ
どうでもいいことですが「ヒューさまはやっぱりパンをひとつ盗むのね」とか「ヒューさまはやっぱり後継者の若者を担いで危機から救うのね」とか思わずレミゼを思い出すシーンがちょっとだけありましたね……