「名探偵ピカチュウ」

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ほんとだもん!ほんとにポケモンいたもん!うそじゃないもん!
会っちゃった!ピカチュウに会っちゃった!
夢だけど、夢じゃなかった!

……っていう気持ちになる映画でしたね、名探偵ピカチュウ。いやほんと、みんな言ってる通り脚本的にはやや凡庸(つまらなくはないけど、めちゃめちゃ傑作というほどでもない)なんだけど、あのライムシティの世界観の構築っぷりは本当になんというか「海外のオタクはんぱねえ!」という気持ちになるやつでした。「ポケモンをパートナーとして共存する世界」の描写が素晴らしすぎて、本当に映画館を出たときに「あっこの世界にはポケモンがいないんだ……」と気づいてがっかりする落胆感がすごかったです。ライムシティに住みたい……

 

いやもう、ピカチュウがほんと……なんていうか「かわいい」って言葉じゃ追いつかないほどの可愛さ。海外のオタクはほんとよくわかってるな! リザードン戦あたりとかもめっちゃかわいくて「ああっちょっとやめてあげて」っていう気持ちになるんだけど、まだこのへんだと「ちくしょうこんなあざといかわいらしさにはおれはだまされないぞ」という気持ちも2割くらい残ってるんですよね。しかし主人公ティムと喧嘩別れしてひとりになったあとの例の「シワシワピカチュウ」の場面、あそこがやばかった……。予告編で見てたから「ああこの流れであのシワシワが出てくるんだな」って心の準備ができたけど、知らずに見てたらあそこで変な声だして映画館の前の座席蹴ってしまうところですよ。リザードン戦で焼かれそうになってるときですら「俺は可愛いんだ」みたいなきゅるっきゅるの眼をしてたくせに、ティムと喧嘩しただけであんな無防備なシワシワの顔に……! なんなん! その無防備さなんなん!(息も絶え絶え)

ピカチュウのあまりの可愛さに正気を失いそうになるので「あざといピカチュウあざとい」と唱えて心をガードして唇噛みながら我慢して観ていたのですが、そこに現れたのがあのコダックですよ。いや、コダックも最初見た瞬間は「みんなが言うほど可愛いかぁ?」と疑念を抱いていたのですが、話が進むにつれ「ストレスに弱い」とか「車内ではヒーリング音楽」とか「マッサージが必要」とかああいう描写がでてきて「あっかわいそうかわいいのやつ……」と思っていたら、ルーシーがおんぶ紐みたいなやつでコダックおんぶして走ってたからもうあそこで完全にアウトでした。かわいい。わたしもコダックおんぶして走りたい。寝る前にコダックの足の裏マッサージしてあげて寝落ちするまで眺めていたい。最高。

予告編では「大丈夫かな? あんまり好みじゃないかも?」みたいな気持ちになるキャラデザもいくつかありましたが、やっぱり表情の作り方がうまいんでしょうね(ピクサーのアニメなんかでもこの現象よく起こるんですが)、見てるうちにどのキャラも好きになってしまうやつでした。冒頭で泣いてるカラカラからして「死んだ母の頭蓋骨をかぶってる」っていう設定知ってるとかわいそうかわいいで。バリヤードのパントマイムとか無駄に長いシーンでしたがあれはあれで好きです。渡辺謙の相棒ブルーもあの怒り顔だからなおさらかわいいですね。クラブでスピーカーやってるドゴームはまじドゴームだったし、カフェで働いてるルンパッパ可愛くてあの店に行きたい。常連になりたい。ゼニガメヒトカゲフシギダネの初代御三家の表情も愛があって可愛かったなあ。道端で寝てるカビゴン、あれは野良カビゴンなんだろうか。ほしい。ただしエイパムは怖かった(いやそれが展開上必要なんですけれど)。

私はポケモンの基本設定であるところのポケモンバトル(闘犬や闘鶏みたいに動物を人間の代わりに戦わせる)に正直ちょっとモヤモヤを感じてしまうタイプの人間なので、アニメとか見てても「ポケモンとトレーナーの絆を強調されても、しょせん代理戦争させてるわけだしなあ……ポケモンたちズタボロになってんじゃんかよ……」ってモニョってしまう部分があるのですが。この映画ではその一歩先の世界で、「ライムシティではポケモンバトルは禁止、ポケモンはパートナー」「ポケモンバトルをしているクラブはアンダーグラウンドの闇営業」という設定になってるのが、受け入れやすくて良かったです(しかもそのクラブのワルみたいなのもちゃんとポケモン愛してて最高……)。

そういえば「10万歩あるけ」みたいなポケットピカチュウ持ってた人間にも嬉しいセリフがあったり、ルーシーが研究所にのりこむときのスタイリングがちょっとポケモンGOっぽかったりして、ほんとあちこちのメディアでポケモンに触れたファン全方位に向けてる感がありました。傍流のファンとしては嬉しい配慮。

冒頭、ティムが列車にのってライムシティへ降り立つところから街の世界観が描写されるところ、なんか既視感あるなと思ったら「ズートピア」ですね、ベタだけど好きです。あそこで一気に「ウワーポケモンのいる世界だーすげえー!」ってなりますもんね。
ラストでピカチュウがおっさんだった理由が明らかになって物語は大団円、なのですが、この展開だと続編作りにくいのでは……ってなりますね。まあ主人公や登場人物は入れ替わってもいいので、このライムシティの世界観でぜひ続編をお願いしたいところです。あれだけたくさんポケモンでてきましたが、まだまだ登場してないポケモンがやまほどいますものね。いやーほんと楽しかったです!