「プロメア」

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見終えた瞬間の感想が「ラーメン二郎だ」でした。いやーもうマシマシ&盛り盛りの暑苦しさで「200%トリガー!」って感じの映画でした。アニメファンではないけど「天元突破グレンラガン」も「キルラキル」も全話見てたので、ある程度の暑苦しさは見る前から予想してましたが、まさかあそこまで暑苦しいやつが出てくるとは。テレビシリーズ1本分を2時間に凝縮したような、過剰すぎるのほどの熱量と情報量に圧倒されて思わずぐったりしてしまう映画でした。(見て元気が出た!という方もいるようですが、私は単純に疲れましたよ……)いや、面白かったですよ、2時間に詰め込む情報量じゃねえぞ、と思いましたけど。ごちそうさまでした満腹です。

いやもう何がすごいってストーリーや演出の暑苦しさもそうなんだけど、それに負けないどころか上回る熱量の堺雅人の芝居ですよね……! 先に見ていた人の感想が「堺雅人」しか言ってないのなんなんだと思ってたんですがなるほどこういうことか、と。いやもう完全に振り切っていて、というか、いままで見たことのない熱量の堺雅人でした。半沢直樹や古美門研介もいま思えばかわいいレベルだった、と思うような、どこでその芸風覚えてきたの、というような。(劇研ですよね知ってる)(アトリエでタイガーショット見てたよ)まあとにかくアホみたいなテンションと熱量で堺雅人が叫んでいて、「大丈夫? いま血管切れた音しなかった?」と何回か思いました。しかもそのテンションで叫ぶのが必殺技の名前で、「滅殺開墾ビーーーーーーム!」だからもはや意味がわからない(いや見てればわかる)(まさかの開墾)(開墾?)

メインキャストが「松山ケンイチ早乙女太一堺雅人」って聞いたときは、正直「いやまあ新感線出演経験者たちだからそんなに心配はないんだけど、餅は餅屋だし、アニメ声優さんがやったほうがいいんじゃないかな」「これがそうだとは言わないけど、話題作りのために声優じゃなく知名度のあるタレントを吹き替えに使う系の映画はあんまり好きじゃねえんだ……」と思ったんですよね。まあ堺雅人は声優経験豊富だからいいとしても、早乙女太一くん大丈夫……? と正直思っていました。いや、ごめんなさい、あやまります。堺さんだけじゃなく、松ケンも太一くんも良かった。違和感なかった。3人ともすごい熱量で叫ぶ叫ぶ。なんというかテクニックに頼らない感じの、喉が裂けそうな「絶叫」感がすごくて、すごく作品に合ってたと思いました。プロの声優さんならもっとそつなく声が枯れないように「上手く」叫びそうだものね。松山ケンイチさんは吹き替えした翌日の休暇日に寝込んでしまったことをインタビューで話していましたが、それが納得できるような叫び声でした。あと、太一くんがこんな風に声だけでも芝居ができるようになったことにちょっとおばちゃんはホロリとしてしまいますよ。新感線に初めて出たときはアクションはすごく良かったけど芝居はまだまだ若かったものね。あっそういえば中盤すごくいいところで古田新太さんも出ていましたね。あまりに上手すぎて全然気づかなかった……古田新太の気配を消していた……

 

終わってみれば「ガロ&リオ」vs「クレイ」の単純な構図ではあるのだけど、前半はガロ・リオ・クレイの関係性がどう転がっていくのか予想がつかなかったので(まあ堺雅人が演じる以上クレイがただの善人ではなくウラがあることは明らかでしたが)、けっこうドキドキハラハラしながら観られました。いや、もう20年以上前に実は中島かずきさんに雑誌のインタビューをしたことがあって、新感線の新作について「どんな話になるんですか」と聞いたら「いいやつと悪いやつが戦っていいやつが勝つ話です」って即答されたんですよね。いや、確かに当時の新感線って確かにそういう展開だったんですけども(いいやつとわるいやつがたたかって、ときどき裏切る者キャラがいて、すったもんだあっていいやつが勝つ、という展開がほとんどでした)。作者自らそんな風に要約しちゃうことに爆笑してしまったことがありました。プロメアも最終的にはいいやつ(ガロ)が勝つ話ではあるんだけど、リオはリオで正義がありつつもガロとは真っ向から敵対する立場なわけだし、クレイもクレイでちょっと行き過ぎたり間違ったりもしつつ自分にとっての正義はあるわけで、そうだよなあもういいやつとわるいやつの話じゃないんだなあ、って昔のインタビューを思い出してちょっとしみじみしてしまいました。(いやまあ近年の新感線ももういいやつとわるいやつの話ではなくなってるのはよく知ってるんですけどね)(でもほら新感線はだいたい3時間半尺があるから)

 

色使いが特徴的な演出で目にも楽しい映像でした。劇伴もかっこいいし(サントラ欲しい)、いやー楽しませていただきました! 初見はだいぶ身体に力が入ってしまって疲れたので、ストーリーわかった上でもう一回みたら今度は元気が出るかもしれません。応炎上映いきたいなー楽しそう!

 

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