マシュー・ボーンの「白鳥の湖」@Bunkamuraオーチャードホール

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出典:マシュー・ボーンの「白鳥の湖~スワン・レイク~」公式サイト

 

久しぶりの来日ですね。私は初来日公演の時にこの演目にドハマりしてしまい、追加公演はほぼ毎公演通ってそれに飽き足らず韓国ツアーまでおっかけていって土日マチソワで4公演見る(しかもそれを2週連続やったのでソウルで計8公演観た)、とかやってたキチガイなので、もはやこの公演について客観的に総括的な文章を書くことができません。この作品はパフォーミングアーツ史上に残る名作・傑作であることはもはや疑いようもないし、そのことについてはもう散々初来日のときに書き散らしたので完全にその点においては燃えカスになっていて、イチから書く気力がありません。というわけで、今回は新演出版の演出変更点についてと、ごくごく個人的に気づいた点をメモしておくにとどめたいと思います。

新演出ということでどのくらい変わったかなーと思ったのですが、振り付けはさほど変わらず細かい点が変更になった程度でまあ印象としてはほぼ9割変わらないですね。1〜2回しか観てない方はスワンクバーのシーンの衣装変更くらいしか気づかないんじゃないかと思います。気づいたところだけちょっと箇条書きでメモしておきますが。


・開幕前の緞帳に浮かぶ白鳥のシルエットが動くようになった。
・一幕の王宮シーンで出てくるコーギーが改良された?
・王子の部屋の照明が変化?(鏡の枠シルエットがドアの周りに重なるようになったような)
・Swank Barの衣装が全体的におとなしめに(後述します)
・王子がSwank Barを追い出された後、壁に映る白鳥のシルエットが変更?
・白鳥群舞シーンの照明すこし変わった?
・二幕の王宮シーンの各ダンサーの小芝居が少し変わった?
・眼帯の王女のエスコート役男性にも眼帯がついてた。
ストレンジャーから王女へのキスが濃厚になってた。
・テーブルの上で踊るどこかの国の王女が、その前にストレンジャーと裏に消えてた(前は舞台上でいちゃついてたと思う)
・ガールフレンドがストレンジャーに絡みに行こうとして撃沈する描写が増えた? ストレンジャーと踊った後に泣きながら逃げ出すような演出はなくなってた。
・王子の銃撃後、ストレンジャーと執事が顔を見合わせて笑う演出がなくなってた

 

他にも細部の変更はあるんでしょうが気づいたのはこれくらいでしょうかね。二幕の王宮シーンの各種小芝居については同じ上演期間でもキャストによって小芝居が違うのでなんともかんともです。一番大きな変更点として気づきやすいのはSwank Barでしょうね。以前はもっとバーにいる人たちが多様性に富んでいたのですよ。ドラァグクイーン風のダンサー、リーゼントの男、アフロの男、ゲイの水兵カップル、イケてない感じのツイードのスーツの女性、というような面々がそれぞれのストーリーを踊っている感じだったのですが、今回は黒っぽい統一性のある衣装になって「あれ?この店ドレスコードができたの?」と思ってしまいました。私は以前の演出の目が足りなくなる感じが好きでここが大好きな場面だったので少し残念に思ったのですが、どうやらパンフレットによると「初見のお客さんがどこをみていいのかわからなくなるから」というような理由でシンプルに変更したようです。まあそれはそれで納得の理由ではあるのですが、あの猥雑感が好きだったのになあ、と残念に思いました。

あとここからは個人的な思いなのですが、近年の上演ではスワン/ストレンジャーの髪がほぼボウズレベルの短髪になってしまい、そこが私の性癖にうまく刺さらなくなってしまったな……という気がしています。初来日のときのアダム・クーパーは短髪とはいえもう少し髪が長くて、そこが良かったんだけどなあ、と。マシュー・ボーン作品だと「ドリアン・グレイの肖像」とかもそうだったのですが、たぶん男性のセクシーさを感じる髪の長さが、マシュー・ボーンと決定的に相容れない……というのを今回確信してしまいました。短すぎる髪の毛には萌えづらいんだな……、と。ただ、私が今回みたスワンはマックス・ウェストウェルでほぼボウズだったのですが、上演期間後半に登場したスワン、英国ロイヤル・バレエ団のマシュー・ボールは髪が長めだった、オールバックにしていた、と友人から聞いて「あああああしまったああああ」と思いましたよね。やはり千秋楽に見るべきだったと。まあ、舞台は一期一会、そんなこともあります。しょぼん。

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日本人女性キャストもいらっしゃいましたね! 素敵。