「ダウントン・アビー」(映画)

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シーズン6まで放送された英国の人気ドラマシリーズの劇場版。TVシリーズのドラマを完走したファンにとってはまさに「ご褒美のような映画だな!」と思いました。「国王夫妻がお屋敷にやってくる」という晴れがましい大イベントで劇場版らしいスケールもありつつ、TV版ですっかり愛着の湧いた登場人物については愛を持って描いていて、本当に観た後に多幸感に包まれるような劇場版でした。美術衣装もTVシリーズ同様美しく、大画面で観ても丁寧に作られた作品なのだなあというのが伝わる内容でした。

冒頭の「国王からの手紙がクローリー家に届くまで」の手紙が次々と様々な人の手を渡っていく様子を丁寧に描写したオープニングから、あのテーマ曲にのせてお屋敷が映るところ、もうこの冒頭だけで「ああこの映画は間違いないやつ!」と思いました。お屋敷の風景も空撮やクレーン撮影(?)でいつもよりランクアップ感ありましたね。

各キャラのエピソードも「もう、相変わらずだな君たち!」という感じなんですけどそこがまた良いです。バイオレットお祖母様の皮肉もTV版以上にキレッキレ。終盤の掌返しで「私が切手を貼るわ」の場面では腹筋壊れそうになるくらい笑いをこらえましたね。ウィット効きすぎてて皮肉なんだかなんなんだか初見の人にはわからないようなセリフが多いのですが、公開2日目に日比谷でみたらさすがに作品ファンしかいないようで、おばあさまのセリフにもクスクス笑いが多発していました。

今回はとにかくトム・ブランソンが大活躍でしたね! もはや彼が主役なんじゃないかというくらいでした。運転手の立場からずっと観ていたファンにとっても、彼がすっかり一家の一員として揺るぎない存在になったのは嬉しかったです。メアリーの憂いで貴族社会の終焉を感じさせつつも、ファンの「クローリー家は永遠に」の気持ちをアンナが代弁してくれるのも優しいなあと思いました。使用人チームも相変わらず。初めて同性愛者の仲間を見つけたトーマスの浮かれっぷりは微笑ましくもあるのですが、移り気すぎて「お前!トーマス!チョロっチョロにチョロいな!チョロ助だな!」と思ってしまいました。今回使用人チーム主演はアンナですかね、大活躍でした。相変わらずのモールズリーさんのやらかしも気の毒だけど笑っちゃう。デイジーとアンディもようやくおさまるところにおさまりそうで一安心です。アンナ大活躍の一方でベイツさんがいまひとつ出番が少なかったような気がするのはスケジュールが抑えられなかったのかな、なんて邪推したりもしつつ。

今回はあまりしんどいエピソードはなく、外部から来た国王家の使用人たちが敵役になってくれたので、使用人チームが仲違いすることもなくがっちり結束したのも良かったです。貴族組のほうも大団円を迎えたカップルが危機に陥ることもなく安心して観ていられました。幸せな時間でしたね!