「ハスラーズ」

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予告編観て面白そう!と思ったんですが「思ったんと違う」のが出てきた、という感じですね。いや、別につまらなくはないし全然悪くはないんですけれど。サイトやポスターのビジュアル見る感じだと「個性豊かな女性7人のチームもの」だと思っちゃうし、予告編見た感じだと「ストリップ小屋を舞台にショーやダンスを交えて展開する痛快コンゲーム映画」だと思っちゃったんですよね。実際にはジェニファー・ロペスコンスタンス・ウーのふたりがメインでそれ以外のキャラの印象は薄いし、コンゲームというほど金を巻き上げる手口が凝ってるわけじゃなかったんですよ。まあ言うたらストリッパーたちが飲み屋で金持ちに薬盛ってボッタクリやってるってくらいの手口なので、その手口の部分に期待しちゃってたからちょっと肩透かしだった、という感じです。ゴージャスなエンタメ風に作った予告編ではありましたが、これも「JOKER」「パラサイト」あたりと共通するテーマ、貧富の格差や社会的弱者の物語なんですよね。どっちかというと実話をもとにしたしっかり社会派な映画だったなと思いました。そのつもりで観たかったなーと。

とはいえ、リーマンショックのせいで景気がガタ落ちした状況下で、困窮する弱者であるところのセックスワーカーの女性たちが、金持ち金融マンたちから金を巻き上げていくのはシンプルに胸がすく物語ではあります。水商売の店が舞台の話だとどうしても日本では「女同士のえげつない争い!」みたいな雰囲気になりますけど、この物語は女性たちがいがみ合うことなくお互いを助け合ってるのが気持ちいいですね。ラモーナやダイヤモンドが店に入りたてで垢抜けないデスティニーにポールダンスや男のたらしこみ方を指導していく場面も好きでした。ああいう場面もっと観たかった。というかジェニファー・ロペスのポールダンスがすごかった! それもうちょっとたくさん見せて! ポールダンスは基本冒頭に少しだけで途中から全然出てこなかったのもちょっと残念でしたね。もっとショーパフォーマンス観たかった。

あと観てて気持ちの良い場面ではないことは承知の上なんだけど、デスティニーの気持ちが削られていく場面はもうちょっとこってり見せたほうが映画としてのバランスがいいのではないかな、とちょっと思いました。一応「店で稼いだ金はどんどん上前をはねられて手元に残るのはわずか」とか「横柄な客に性行為を要求される」とかの場面は出ては来るけど気持ちがふさぐほどの描写ではないのですよ。でもそこの「水商売で削られていく気持ち」をもうちょっと丁寧に描かないと、男たちや社会へのリベンジ感が薄まるんだよなあ、と思っちゃったんですよね。なんていうかその「リベンジ」としてやってる感をもう少し強めないと、ただ素行の悪いヤンキーねえちゃんたちがレイプドラッグ的な物を使ってウェイウェイしてる感じに見えちゃうんじゃないかなあ、なんてちょっと思いました。

まあしかしほんとこの映画はジェニファー・ロペスのかっこよさに尽きますね。寒い冬の屋上で毛皮のコートの中にデスティニーを招き入れる場面、惚れずにはいられない。あれで50歳とか嘘でしょ……と思いました。見えない!!!

 

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