宝塚月組「出島小宇宙戦争」@東京建物BrilliaHall

f:id:lgmlgm:20200309002949p:plain出典:スポーツ報知

鳳月杏さん主演公演!東上!おめでとうございます!
いやーほんとちなつさん素敵でしたねかっこよかったですね……フィナーレの美しさになんかもう本編の感想などふっとんでしまいましたが……なんとか思い出そうと思います。谷貴也先生の3作目、江戸時代の日本っぽい架空のどこかを部隊にした物語。設定や各キャラクターの背景だけならはちゃめちゃで面白そうだし、舞台美術や衣装、装置の使い方なんかもすごくビジュアル面は良かったんでそれなりに楽しんだのですが、脚本……うん……なんだろうな、致命的に交通整理がアレというかなんというか……途中で集中力が切れて意識がとびそうになる瞬間がいくつか。終わった時点で完全にスペースキャット顔になっていましたね……。つまんなくはない、つまんなくはないんだけども、なんというかもうちょっと脚本がすっきりまとまっていればなあ、という気持ちでした。

カゲヤス役の鳳月杏さん。タダタカ(=伊能忠敬・光月るうさん)の弟子として地図作りを手伝い、天文学に詳しい学者の設定。他のキャラクターに比べたら強い個性のない設定だけど、ちゃんとセンターとして魅力的な役作りで魅せてくれたと思います。着物にトレンチコート、手にはスチームパンクな望遠鏡、後ろ髪の長さ、もうパッと見でオタクの大好きなやつでしたよね。フィナーレのダンスの決めポーズもいちいち美しくて本当に見とれてしまいました。久しぶりにオペラ迷子にならず「こんなにも迷いなくひとりの人をオペラでロックオンしたことがあっただろうか」というくらいずっとちなつさんを観ていた気がします……かっっっっっっこよかった……。またセンターに立つ舞台が観たいです……ほんとおねがいします……。

ヒロインのカグヤ=海乃美月ちゃん。やはり上級生娘役の落ち着きは安心して観てられますね。カゲヤスと亡くなったタダタカの三角関係的な関係性でしたが、謎の多い難しい役をうまいこと演じていたと思います。フィナーレのデュエットダンスの美しさには泣きましたね……いやほんとマスカレード・ホテルの瀬戸かずやさん×朝月希和さんもそうだったけど、この上級生のしっとりデュエットダンスはほんと魅せ方がばちっと決まっていて美しい! 若いコンビのがむしゃらなダンスももちろん好きなんですけど、上級生ならではのしっとり感、ほんといいです。美しい。

リンゾウの暁千星さん、タダタカに対して複雑な感情を抱くポジションですね。もはやバブみも抜けてしっかり男役らしくなってきたのではないでしょうか。そして印象的だったのは「宇宙人」と言われるシーボルト役の風間柚乃ちゃん……いやもう今まで何度いったかわかんないけどまた言っちゃうこのセリフ「おだちんは一体研いくつなの???」。宇宙人(?)というトリッキーな設定で、下手にやったらいたたまれないほどのダダ滑りをしそうな役なのに、上手にコミカルさと得体のしれなさを醸し出していて。いやほんと「このポジション普通は路線の研6がやるような役じゃないよなあ、別格上級生枠だよな??」「新感線でもここのポジションにゲストの客演若手俳優つかったりしないよ、橋本じゅんさんか粟根まことさんにまかせる枠だよ……」と思いながら観ていました。軽妙なんだけどただ軽いだけじゃなく腹に一物ある感じ……ほんと芝居のうまさにうなりました。セットで出てくるヘレーネ役の蘭世惠翔さん、セリフはほとんどないものの「メイド服に日本刀」のビジュアル強かった……。ヌイノスケ役の英かおとくんやチョウエイ役の彩音星凪くんのビジュアルも良かったなあ。

2階席から見る舞台美術は本当に好みでした。スチームパンクみもある中二病好みのやつで、ほんと谷先生ビジュアルセンスは最高……この路線で突き進んで……!と思いましたねえ。でもあの角度の写真や映像ってたぶん残らないんだろうなぁ。装置の使い方や転換もスピーディでとても良かったので、あとほんと、脚本だけ、もうちょっとこなれると楽しみな演出家なんだけどなあ、と思いましたね。設定と先行ビジュアルの時点で「おいおいこれ新感線の大江戸ロケットやるつもりなのでは……」とも思いましたが、実際みたらそんなにオマージュ感なかったので安心しました。

いやしかしコロナ流行のせいで最後の4公演が中止になってしまったの、本当に残念、無念です。ひとりでも多くの人にあのちなつさんのかっこよさを観ていただきたかった。ちなつさんに最後まで無事に千秋楽を迎えてもらいたかった。現状3番手ということで円盤も出る予定がないようで……。大阪公演ではカメラが入っていたときいたのでスカイステージでの放送はあるのでしょうけれど。うう。つらいのでキャトルレーヴにいって鳳月杏さんが写ってる舞台写真、ここからここまで全部くださいってやってきます(真顔)