宝塚歌劇星組『眩耀の谷 ~舞い降りた新星~/Rayー星の光線ー』@東京宝塚劇場

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出典:宝塚歌劇団公式ホームページ

 

礼真琴さん&舞空瞳さんの新トップコンビお披露目公演!おめでとうございます!
「眩耀の谷」は紀元前の中国を舞台にした歴史モノ。最初は聞き慣れない人名地名国名などに戸惑うものの、すぐに「中央政権的な周国と、それに支配され迫害される少数民族の汶族」という構図が見えてくるので、お話としては比較的シンプル。周国の中堅武将として汶族が守る聖地・眩耀の谷を訪れた主人公の丹礼真(礼真琴)が、盲目の舞姫・瞳花(舞空瞳)と出会い、やがて自身も汶族の末裔であることを知って、彼らを守るために立ち上がる……といった物語。

 若いトップさん&上級生二番手の新体制への宛書きということもあってか、若者らしい懊悩を見せる主人公と大人の雰囲気を漂わせる管武将軍(愛月ひかる)の対比もわかりやすい仕上がりでした。礼真琴さん主演作の「阿弖流為」も、今思えば「中央政権の支配に抵抗する少数民族」の話でしたね。巨大な力に立ち向かうヒーローの役をやらせたくなるタイプの役者さんなんでしょうか。

現在の中国と新疆ウイグル自治区の問題を考えるとなかなかにヒリヒリ来る物語ではあるのですが、そこは宝塚、あくまで歴史ファンタジーとして夢々しく幕開き、大団円で幕を閉じます。丹礼真は汶族を率いて眩耀の谷を捨て周国の支配を逃れ、新しい土地に根をおろし末永く幸せに暮らしました、という結末でした。丹礼真が銀橋に這いつくばる場面では「ああ、まこっちゃんも床に這う系のトップさんになるのかなぁ」としみじみしてしまいましたが、一転してヒロインと結ばれ一族の長となる「結婚披露宴&王位継承エンド」には「さすがお披露目公演!」と思いましたね。

 

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「RAY」はこれぞ中村一徳ショー!という感じで、眩しいほどに電飾がギラギラと光り、テンポ早めのダンスがゴリゴリと連続するショーでした。「ファントム」のショーや「MusicRevolution」をリピートしていた雪ファンとしては多少のデジャブも感じつつ……。
いやしかし、体育会系な雰囲気のある組カラーはそのままなのですが、トップさんのキャラがオモシロ系だった紅さんから優等生キャラのまこっちゃんに変わっただけでなく、二番手にスタイリッシュ&色気たっぷりな大人の愛月さんが来たこともあって、だいぶ全体の雰囲気が変わった感がありますね。花組から組み替えの綺城ひか理さん、極美慎くん、舞空瞳ちゃんの3人の人間離れした小顔&足の長さには「人間のスタイルってあんなんだっけ?」と脳もバグる勢いです。

あとなんていうんでしょうね、センターの背中を追う組子たちの団結感というか、「若いトップコンビのお披露目を支えるのだ!」という気持ちと、「トップコンビのダンスの巧さと歌唱力に追いつかなくては!」という意気込みがないまぜになった迫力が、なんとなく感じられる公演だったように思います。

いやしかしまこっちゃんもひっとんも、異例とまではいかずとも比較的若い学年でトップに立ってるというのに、全然ハラハラする部分がなくてほんと安心して見ていられますね。ふたりとも歌も上手いしキレッキレに踊れるしで、若くハツラツとした雰囲気がとてもお似合いです。ゴリゴリに踊る場面も歌い上げる場面もまあ気持ちいいこと。若くしてトップに立つということは比較的長期でトップを務める可能性が高いのだと思いますが、これだけ歌って踊れるコンビだと見てみたい演目がたくさんありますね……。愛ちゃんも「もう3年くらい二番手やってませんでしたっけ」と思うような安定感。スーツにハットでせり上がってきたときはあまりのカッコよさに変な声が出そうでした。せおっちも危うげなく三番手をつとめていてばっちり印象に残り、三番手までのトライアングルも安定してる感じがありますね。星組はいままでちょっと履修不足で下級生もぜんぜんわからないのですが、これからが楽しみな組になってきました。どんどん全組おっかけたくなってきて本当に忙しい……!