宝塚歌劇団雪組「NOW ZOOM ME!!」@東京宝塚劇場
出典:TCAピクチャーズ
雪組トップスター望海風斗さんのプレ退団公演となるコンサート。いやもうこれについては「無事開催されて!良かった!!!」というのが心の底からの第一声です。
当初は文京シビックホールと神戸国際会館こくさいホールでの上演が予定されていましたが、コロナ禍により公演中止に。幻の公演になってしまうかと気を揉んでいましたが、なんと宝塚大劇場と東京宝塚劇場というバリバリの二大本拠地での開催が決まりました。いやーこれほんと劇団さんありがとうの決定でしたね。今まで武道館や横浜アリーナで退団前ライブやったトップさんはいましたが、通常コンサートをやらない自前の劇場でそれぞれ1週間公演を打つというのもなかなか異例の出来事です。おかげで最後列観劇とはいえ座席コンディションに悩まされることなく、銀橋パフォーマンスまでしっかり観ることができて本当に感謝感謝です。
いやしかしですね、歌唱力に定評のある望海さんのコンサート、しかも当初予定通りされてた劇場がクラシックコンサートの箱でもあるということで、しっとり系の歌い上げ楽曲多数の大人っぽいリサイタル的なものになるのかなと思っていたのですが、ポスタービジュアル出た時点で「そうだった!演出はサイトー先生だった!そりゃこうなるわ!」という感じでしたね。メインのお衣装はアーミーテイスト、コナンのテーマからはじまる謎の宇宙人侵略、バブル期をテーマにしたヒット曲メドレー、3年B組のパロディから始まって雪組の悲劇という悲劇を混ぜてカオスなパロディにした「ノゾミの大爆笑」コーナー、などなど、これぞ「サイトーの犯行」といった感じのコンサートでした。いや、すごくカッコイイ洋楽メドレーとか魅惑の黒燕尾(しかもPET’SのAkatsukiで爆踊り)とか、花組時代のメドレーとか雪組メドレーとか、望海さんのピアノ弾き語りとか、そらもうイイ場面も同じくらいあったんですけどね。……って、こうして書いてみるとほんと統一感のないコンサートだな!という気がしますね。まあショーじゃなくてコンサートだからこういうのもアリですね。まあとにかく望海さんのかっこいいとこは十分に味わえましたし、何より本当に嬉しそうに楽しんでいらっしゃったのでそれだけでもう胸がいっぱいですありがとうございます、の気持ちです。望海さんがファン〜音校時代に大好きだったショーが「BLUE MOON BLUE」だったことを考えれば、あのメインのアーミーテイストのお衣装も「エンドレスドリーム」の選曲も「のぞみの夢叶えたろかスペシャル」だったんだなあと思いますよね…贔屓が幸せならそれでよし…!
セットリストとあわせて、簡単に感想をまじえていきます。
■1st ZOOM NOW! ZOOM ME!
・KernKraft400(Zombie Nation)
・ZUKA!ZOOM UP!(オリジナル曲)
・KILLER-K(アプローズ・タカラヅカ!より)
・ごめんよ僕が馬鹿だった(サザンオールスターズ)
・いつだって僕らは(いきものがかり)
オープニングは横浜DeNAベイスターズ好きにとっては山崎康晃登場テーマとしておなじみのあの曲。「ヤ!ス!ア!キ!」とヤスアキジャンプしたい気持ちをこらえて心の中で「だ!い!も!ん!」コール。アーミーテイストなポスタービジュアルのお衣装でテンポよく進みます。途中で全員決めポーズしながらメンバー紹介もあり。
■2nd ZOOM OH! MY ILOL!
・She Bangs(リッキー・マーティン)
・Nuncy Mullidan(エド・シーラン)
・It’s a Beautiful Day(Micharl Buble)
・Shape of My Heart(BackstreetBoys)
洋楽コーナー。彩凪翔さんのShe Bangsの間に望海さんはお衣装チェンジ。スーツにハットで歌うエド・シーランの曲、かっこよかったですねえ。振付も素敵。全体的に大人の雰囲気漂うコーナーなんですが、途中「ノゾミ」の電飾が光るのにちょっと笑ってしまったりしました。
■3rd ZOOM ZOOM ZOOOOOOM! STAR!
・「名探偵コナン」メインテーマ
・ウィンクでさようなら(沢田研二)
・Anything Goes!(大黒摩季)
・PER QUALCHE DOLLAO IN PIU(
・ワンダフル・モーメント(松崎しげる)
宇宙からの侵略者・ダーティーLEO(煌羽レオ)一味とゾロ風の怪傑ZOMI(望海)の対決という謎の寸劇コーナー。一体何が怒っているのかと唖然としているうちに終わります。LEOとZOMIの対決映像がどうみても宝塚大劇場の屋上で笑ってしまいます。
■4th ZOOM ZOOM OLE! BUBBLY!
・バブリー革命~ばんばんバブル~(エナツの祟り)
・Can't Undo This!(ジュリアナ東京のアレ)
・My Revolution(渡辺美里)
・キューティーハニー
・I Love you,SAYONARA(チェッカーズ)
・学園天国(フィンガー5)
・派手!!!(中山美穂)
・ダンシング・ヒーロー(荻野目洋子)
・ビーチタイム(TUBE)
・17才 (森高千里)
・Self Control(TM NETWORK)
・あゝ無情(アン・ルイス)
・世界でいちばん熱い夏(プリンセスプリンセス)
・愛は勝つ(KAN)
バブル時代が思春期だった世代にとっては少々いたたまれなさのある選曲のコーナー。出演者のほとんどは「リアルタイムで聴いてない曲」だろうから、そこまで恥ずかしさはないのかな? 正直初見のときは落ち着かなさで若干ザワザワしましたが、まあ2回目からのリピートでは平気になりました。アンルイスの「あゝ無情」はむしろ掛け声の煽りナシで聴きたかった気も(これはこれで楽しいけれども!)選曲になれてしまえば下級生たちの活躍を楽しめるコーナーでもあったので、まあ二回目以降は楽しかったです。
■5th ZOOM MAGICAL REVIEW
・オリーブの首飾り
・SUPER HERO(ルパン三世)
イリュージョンショータイム。小さなボックスに入った望海さんが箱の中でぎゅうぎゅうに小さくなかったかと思ったら野々花ひまりちゃんが箱から出てくる、というもの。後でマジックのネタバレ動画見たら謎は解けましたが、現地で見てると全然わからなかったです。すごい。
■6th ZOOM I LOVE YOU
・Waiting in the Rain
・ノゾミ(オリジナル曲)
・Akatsuki(PE’Z)
みんな大好き黒燕尾!Akatsukiでの爆踊り黒燕尾、楽しくないわけがない。というわけで最高にかっこよかったコーナーでした。時よ止まれ、と本気で思いました。
ー幕間ー
■7th ZOOM ZOOM FIXION〜106年雪組アヤナギ先生〜
・贈る言葉
・隣組
彩凪翔さんによるアヤナギ先生は3年B組のパロディ映像&コント。千秋楽はなんとおさげ&セーラー服姿をした望海さんの「ふうこちゃん」も登場。トップさん何してんの〜!
■8th ZOOM ZOOM U-TURN〜ノゾミの大爆笑〜
・星探しの唄(星逢一夜)
・決断の時(ひかりふる路)
・壬生狼たち(壬生義士伝)
・恋の島原(壬生義士伝)
・面影(壬生義士伝)
・Home(ファントム)
・You are my own(ファントム)
・石を割って咲く桜(壬生義士伝)
「もしも雪組の悲劇が喜劇だったら」と、過去作をいじりにいじりまくったパロディ。家族の元へ帰った吉村ロベスピエール寛一郎(壬生の衣装にファントムの仮面)と、過去作の登場人物があれこれ登場して繰り広げるドタバタ喜劇。タカスペのパロディコーナー拡大版みたいな感じですね。望海さんのお役がひたすら貧乏だったことをいじりまくったパロディで面白かったけど、リピーターも多い公演でこれを長期間やるのは出演者のみなさんも大変だったのでは(苦笑)。でも下級生の雪ん子たち(千早真央ちゃん&麻花すわんちゃん)が望海さん相手に堂々とアドリブこなしてて可愛かったですね!さすがに曲は使えなかったけど「悔改めよ!」の20世紀号のセリフもありました。(なおファントムの楽曲については円盤ではカットされております!)
■9th ZOOM TEAM NOZOMI
▼Aバージョン
・夢を紡いで(レビュー誕生)
・Victorian Jazz(Victorian Jazz)
・We Belieave Love(シニョールドンファン)
・アプローズ・タカラヅカ!(アプローズタカラヅカ)
・舞夢ー世界の始まりの朝にー(TAKARAZUKA舞夢)
・夢を見れば…(エンター・ザ・レビュー)
・Le Paradis!!この素晴らしき楽園(Le Paradis!!)
・CONGA!!(CONGA!!)
・JUMP!(オーシャンズ11)
・Mr.Swing!(Mr.Swing!)
・MUGEN DREAM(TAKARAZUKA∞夢眩)
・Exciter!(EXCITER!)
・チュシンの星のもとに(太王四神記)
怒涛の花組メドレー。正直ほとんどはリアルタイムでは見てないんですが(レビュー誕生とかは見てるけどさすがにこの時代の望海さんは認識してない)、Mr.SwingやExciterとか好きな曲も出てきてアガりますね! 客席のペンライトがピンク色に染まってるのも「愛!」って感じでした。
▼Bバージョン
・ひかりふる路(ひかりふる路)
・愛は枯れない(ONCE UPON A TIME IN AMERICA)
・DIARY 夢の宙船(SUPER VOYAGER)
配信でしか見られませんでしたがさすがに馴染みのある雪組ナンバー。お披露目公演を観劇したときのことを思い出してグッときてしまいます。ワンスの曲は新人公演主演の諏訪さきちゃんも一緒に歌えてよかったねえええ。
▼Cバージョン
・You Raize Me Up
・輝く未来(塔の上のラプンツェル)
・ランベス・ウォーク(ME AND MY GIRL)
こちらも配信のみでしたが、真彩希帆ちゃんゲスト回! いやもうしっとり歌い上げるYou Raize Me Upに続いての「輝く未来」に全だいきほファンがあまりの尊さに焼き尽くされて灰になりましたよね……。あのバックハグからの幸せそうな表情のゆらゆら……本公演ではまず見られない夢々しさに画面のこちらがわで灰になりました。「今みたものは……幻……?」と思っていたら、MCで「夢々しいデュエットがいままでほぼなかった」「私が振り向くときはだいたい苦悩の顔だった」と望海さんご本人も話していて笑ってしまいましたよ。ランベスウォークも楽しかった! リクエスト多かったんだろうなああ。
■10th ZOOM OWNER’S SONGS
・SUPER VOYAGER 希望の海へ(SUPER VOYAGER)
・Music is My Life(Music Revolution)
・西部警察メインテーマ
・ひとかけらの勇気(スカーレット・ピンパーネル)
・かわらぬ思い(ブラックジャック 危険な賭け)
・Si l’on revient moins riches 愛の旅立ち(ザ・レビューⅢ)
お披露目ショーのテーマ曲に続いてMiMLの弾き語り! 染みますねえ……(うっとり)。西部警察のテーマはトークタイムの下級生を呼び出すときの「いでよ、チームだいもん!」のコールの後に来るBGM(西部警察の大門軍団にかけてるんですね……これが伝わるのもはや40代以上のファンだけなのでは……)。そしてリクエストコーナーとして投票の多かった3曲が披露されました。ひとかけらの勇気が聴けて嬉しい!
■LAST ZOOM
・明日も(SHISHAMO)
・ENDLESS DREAM(BLUE MOON BLUE)
・ハイパー・ステージ!(ハイパーステージ!)
・BLUE ILLUSION(BLUE MOON BLUE)
・夢は世界を駆けめぐる(夢は世界を駆けめぐる)
・ミレニアム・チャレンジャー(ミレニアム。チャレンジャー)
・Joyful!(Joyful!)
・ZUKA! ZOOM! UP!(オリジナル曲)
■アンコール
・夢をあつめて
ツアーTシャツ姿の全メンバーによる「明日も」、歌詞が絶妙に今の状況にしみるやつでしたね。「いいことばかりじゃないからさ 痛くて泣きたい時もある」「週末は僕のヒーローに会いにいく」まさにこのコロナ禍で公演を楽しみにする私達そのものではないですか。と思っていたら望海さんもMCでこの曲がぐっときたと話していてしんみりしてしまいました。
そして往年のタカラヅカ名曲集のようなラストスパートでした。アンコールはナオト・インティライミ氏作曲の望海さんオリジナル曲で幕、となりました。