「紳士のための愛と殺人の手引き」@日生劇場

2014年のトニー賞で話題になった作品、という一点だけで観に行きました。市村正親さんが9役を早替りで演じ、8回殺されるという設定のミュージカル。作品賞や脚本賞を受賞してるのでこの設定でももうちょっと真面目な作品なのかなーと思っていましたが、まあ設定通りのバカバカしくくだらない物語でありました。バカバカしいとはいえ曲は難易度が高そうで、なんだかものすごく歌のうまい人たちがものすごくうまい歌を歌いながらバカバカしい話をやってる感じの作品でしたねえ。そのギャップが面白い、というか。

物語。母親を突然亡くした青年・モンティ(ウェンツ瑛士)のもとへ、母の古い友人ミス・シングル(春風ひとみ)が訪ねてくる。モンティの母は貴族ダイスクイス家の血を引いていて、モンティも8番目の爵位継承権があるという。モンティは8人が死ねば爵位と財産が手に入ると知り、あの手この手でダイスクイスファミリーを殺していく。念願の爵位を手に入れたモンティだったが、貞淑な婚約者フィービー(宮澤エマ)と遊び相手のシベラ(シルビア・グラブ)の間で板挟み。そして殺人容疑で投獄されたモンティは、牢獄で次の爵位継承権を持つという男に出会う。フィービーとシベラのおかげで牢から出られたモンティだったが、そこへ次の爵位継承権を持つ男がやってきて(モンティが殺されることを匂わせて、幕)……というお話。

まあ市村正親さんの9役に関しては「このくらいは市村さんなら余裕の範囲内だろうなー」という印象。楽しそうに色んなキャラを演じておられました。しかし多数の役を早替り、というとどうしても浅野和之さんの顔が浮かんでしまい、「もし市村さんに何かあって降板したら代役は浅野のおじいちゃんだな……」などと思いながら観ておりました。

意外だったのはウェンツ瑛士くん。これまでミュージカル何本かやってるのは知っていたのですが、実は観たのが初めてでして。なんというかバラエティタレントのイメージがあるので、出演は客寄せ的なあれなのかなーと思っていたのですが、しっかり上手かったのでちょっと驚いてしまいました。なんか見くびっててごめんなさい、と思いましたよ。彫りの深い顔立ちは2階席後方から観ててもよく映えますし、歌もちゃんと上手いし。シルビア・グラブさんとの色っぽい絡みの場面なんてちょっとドキドキするくらいセクシーでしたよ。あとでwikipedia見たら四季のライオンキングでヤングシンバやってたんですね、知らなかった。そら上手いはずや。これはちょっと嬉しい収穫でした。