2023年8-9月に観た舞台

8月3日夜 宝塚宙組『Xcalibur エクスカリバー

引用元:新たなる王と新生宙組の誕生が重ねあわされた『エクスカリバー』開幕! | えんぶの情報サイト 演劇キック


芹香斗亜さんトップ就任プレお披露目公演!おめでとうございます。長かったねここまで…。
珠城りょうさんトップお披露目プレ公演もアーサー王で「いきなり孤独な王様はお披露目公演としてどうなん…?」みたいな気持ちになったものですが、今回のエクスカリバーも「心身ともにボロボロになりながら王位につく芹香斗亜」はここまでの二番手歴の長さを思うとどうしてもメタ的な意味で泣いてしまって「もうちょっとハッピーな演目にできなかったのかよ…!」みたいな気持ちになってしまいましたが。

ナンバーはメロディアスで聴かせる作品ではあるものの、なんとなく「曲ありきで作った作品」に見えるというか、芝居の中で自然と歌につながる…みたいな感じでなく、ナンバーとナンバーを無理くり芝居でつなぎました、みたいに見える作品ですね。もうちょっと演出でなんとかできなかったのかな。装置の予算の問題なのかわかりませんが、「芝居→歌→歌が始まると幕をおろして裏で場面転換→歌が終わると幕を上げて次の場面へ」みたいな演出が多いように思いました。だけど装置もそんな大幅に変わるわけではなかったように思うので、せめて見せる転換のほうが良かったのでは…とか。ちょっと単調に見えてしまう演出でしたね、稲葉先生ならもうちょっと上手くやれそうですが、色々制約でもあったのでしょうか。

ややテンション低めの感想になってますが、マーリンの若翔りつさんとモーガンの真白悠希さんがすごく良かった!いわゆる「路線」ではないふたりのエピソードのほうがよほどドラマチックなのでは、という気すらしますし、ふたりの芝居もすごく良かった。特にモーガンの難曲を堂々と歌い上げて熱のこもった芝居をする研6の真白さんに驚きましたよね…新人公演の主演すらやってないのにこの大役!(オリジナルの韓国版ではモーガンのクレジット3番目だったと思う)これだけ歌えて芝居できるならもっと上に這い上がって欲しい…。応援しています。

 

9月3日(昼) 宝塚雪組全国ツアー公演「愛するには短すぎる/ジュエル・ド・パリ」

引用元:宝塚雪組、華麗な舞台 宇都宮公演、4千人酔いしれる|地域の話題,県内主要|下野新聞「SOON」ニュース|下野新聞 SOON(スーン)


「愛するには短すぎる」何度か宝塚では上演されていますが、よく考えたら2006年の初演みていますねこれ…(えっそんなに前…?)。まだズブズブのヅカオタではなかった頃で解像度が低かったのではっきり覚えていませんでしたが、船上の避難訓練ナンバーで唐突に思い出しました。

婚約者もいて結婚を目の前にした青年が船上でかつての幼馴染だった女性に出会って…という物語で、ふたりは結ばれずに終わるのだけど切なくも後味は良いさわやかな物語ですね。トップコンビの恋は結ばれないけれどどちらかと言うとトップとその友人を演じる2番手男役の息のあった芝居を楽しむ演目でしょうか。

真面目で誠実がゆえに悩む主人公フレッドに彩風咲奈さん、ちょっとチャラくて調子は良いけど悪いやつじゃない友人のアンソニーに朝美絢さん、という組み合わせで、「さきあさ」ががっつり組む芝居を楽しめます。アンソニー役これかなり美味しいやつですよね…軽妙でかっこいいんだもの…。下級生までそれぞれ見せ場もありつつ楽しいコメディでした。

ジュエルドパリはまあ本公演でも見てるのですがクレオパトラ役が叶ゆうりさんには驚いてしまいましたね…ウワァ…叶ゆうりの生腹…(卒倒)!

 

9月10日(日)『ファントム』(ライブ配信

引用元:ミュージカル 『ファントム』 | 東京国際フォーラム


生で見ようと思ってチケット買ってたのですが行けなくなってしまい泣く泣く譲渡、今回は配信観劇のみとなりました。この日は城田優エリック&真彩希帆クリスティーヌでした。

それにしても城田さんはどうしてあんなにコミュ障早口オタクの芝居が上手いの…見覚えのある挙動不審さに共感性羞恥が発動しそう…。城田エリックがだいぶ子どもっぽい役作りなので、クリスティーヌがエリックに抱いてる感情の正体がややはっきりしない印象は正直ありました。師弟愛なのか男女の愛なのか、ベラドーヴァと二人一役にすることで親子愛を挟みこんでねじ伏せた感がなきにしもあらず。

でも仮面の下も観客には見せない演出でこれは良かったですね、観客の想像に任せた方がいいと思うので。(だってどう半顔つぶしたところで加藤和樹氏も城田優氏も美形だもの…)それに、My True Loveからの仮面外した顔見た後にクリスティーヌが腰抜かす演出も良かったです、今まで観たファントムではここでクリスティーヌが叫んで逃げるのひでぇなと毎回思ってたから…。その後エリックが緑の幕振り落として泣き崩れるとこの演出も虚構が崩れる感じでいい演出だったと思います。

エリックの失恋ソングあたりも宝塚版とはちょっと違ったり、1幕はまあまあコミカルに作ってあったりと、宝塚版との違いがいろいろと楽しかったです。

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9月30日(土) 宝塚花組『鴛鴦歌合戦/GRAND MIRAGE!」

引用元:宝塚歌劇 花組『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』『GRAND MIRAGE!』特集|タカラヅカ オフィシャルグッズ&サービス

『鴛鴦歌合戦』は小柳先生演出ということもあって『幕末太陽傳』を思い出す和風コメディ。柚香さんの和装がまあかっこよくて…いやはやトップさんの着流しの着こなし力が半端ないなと思いました。襟元を撫でるようなちょっとした和装仕草が本当に絵になる。まどかちゃんのヒロインも可愛かった〜。まあちょっと大衆芸能感もある和風オペレッタという感じで好みは分かれるかなとは思うのだけど、たまにはいいですね。

『GRAND MIRAGE』は岡田先生らしいロマンチック・レビュー。こちらもクラシカルな王道レビューですね。最近の流行りからするとちょっと古式ゆかしい印象はありますが、それでも各組1回くらいは観たいやつです。シボネーの場面の熱量などは目を見張るものがありました。美しかった…!

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