宝塚星組「ロックオペラ モーツァルト」

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出典:演劇キック

 

星組新トップコンビ、礼真琴さん&舞空瞳ちゃんのプレお披露目公演!おめでとうございます!
日本では以前、山本耕史中川晃教のWキャストで上演されたフレンチミュージカルですが、宝塚では初演ですね。楽曲がいいのはサントラで既に知っていたので楽しみにしていたのですが、チケット争奪戦はかなりの激戦。お友だちの協力で3階席をかろうじて一枚手に入れましたが、いやー苦戦しました。演出や脚色についてはいろいろ言いたいこともありつつも、新トップコンビの魅力が十二分に発揮され、大変満足度の高い公演となりました!

物語はモーツァルトがコロレド大司教のもとを離れ旅に出るところから。母親を伴って音楽修業の旅に出たところでコンスタンツェと出会い、その姉アロイジアと恋に落ちます。が、父の命でウィーンを離れパリへ。コロレドの妨害で思うように修行は進まず、母は病気で亡くなり、失意の中ウィーンに戻るとアロイジアは別の男と結婚していて失意のどん底ザルツブルグに戻ってしばらくコロレドの元にいたモーツァルトは、結局我慢ができず辞職。ウィーンでコンスタンツェ一家の下宿に転がり込んだモーツァルトはコンスタンツェと結婚。ウィーン国立劇場でオペラの新作をかきあげたものの、モーツァルトの才能に嫉妬するサリエリの妨害にあいます。鎮魂歌の依頼をうけてレクイエムを書くうちに体を悪くしたモーツァルトの元へサリエリがやってきてふたりは和解するものの、モーツァルトは召されてしまう……といった感じのあらすじ。

ストーリーは乱暴にいえばクンツェ&リーヴァイの「モーツァルト!」と、ピーター・シェーファーの「アマデウス」を足して2で割った感じの筋立てになってます。前半は「M!」、後半は「アマデウス」のダイジェスト感がありましたね。サリエリとの関係性については「アマデウス」が名作すぎるだけに、正直なところ物足りなさはだいぶありました。

とはいえ楽曲が良く耳に残るナンバーも多いので、ミュージカルとしては楽しい作品です。演出は石田先生で正直「就活とかこじらせ女子とかそういう単語、この作品にいる……?」と思ったり、「またぞろぞろ出てきて幕前芝居やってる……」とか苦手な部分もあるのですが。ただ、一幕のラスト、絶望を歌い上げるモーツァルトと、その後ろで裸足で踊る舞空瞳ちゃん(ここはコンスタンツェというよりは抽象ダンサー的な演出だったと思う)の演出が大変素晴らしくてですね、この場面だけでもうこの作品は大成功だったんじゃないかとすら思いました。礼真琴さんの本気の歌声と舞空瞳ちゃんの本気のダンスの相乗効果、すごかった。幕が下りて休憩になった瞬間、周囲からため息が漏れて「やばいね……」「やばかった……」というつぶやきが次々に上がったのが印象的でした。

トップに就任した礼真琴さん、センターに立つことでリミッター解除してくるのは予想してましたが想像以上でしたね。声量もあるし低音から高音まで難なく歌いこなしていて大変聴いてて気持ちいいです。冒頭、下級生たちの上に倒れ込みながら歌う場面でもまったく声がブレないのには驚き。前述の一幕ラストの歌い上げる場面も本当に聴き応えがありました。今回の公演は娘役が歌える人が多いのも驚きましたね、ヒロインのコンスタンツェ・舞空瞳ちゃんをはじめ、その姉アロイジア・小桜ほのかちゃんや他の娘役たちにも歌での見せ場が多く、「星組はどんだけ人材がおんねん!」と思うほどでした。

フィナーレも楽しかったですね。男役群舞といえば「ギラギラしながら懸命に踊る下級生」を従えて「力の抜けた感じで余裕たっぷりに踊るトップさん」がセンターにいる、という構図が多い気がするのですが、この作品では群舞のセンターでまこっちゃんが誰よりもキレッキレに踊ってたな……と思いました。これがこれからの星組のカラーになっていくのでしょう。楽しみです。そしてまこっちゃんとひっとんのデュエダン、素敵でしたねえ。もはや誰にも遠慮する必要のなくなったふたりがのびのびと楽しく踊っている感じで素晴らしかったです。踊ることが楽しくて仕方ないといった雰囲気のデュエダンでした。

いやーそれにしてもこの歌えて踊れるトップコンビに、あの大人の魅力あふれる演技派・愛月ひかるさんが二番手でつくわけですよね。綺城ひか理さんも組替えでやってくるし、星組も新体制でだいぶ雰囲気変わりそうですね。大劇場二作目に「ロミオとジュリエット」を上演することも発表されましたし、星組さんもこれからチケ難に悩まされそうですが、楽しみです!