パディントン

児童文学の実写化ということでまあ子供向け映画だろうと横目で観ていたのですが、どうも観た方の評判が良いので6歳長女を連れて観に行きました。まあこれが想像以上に楽しい映画で、笑えるし泣けるしドキドキワクワクできるし可愛いし美術が綺麗だしで「なんだこれ!最高か!」ってすごく幸せな気分に。子どもにもわかりやすく真っ当で優等生的なストーリーでありながら、大人でもまったく退屈せず楽しめるという素晴らしい映画でした。

ペルーからロンドンにやってきたクマがロンドンの社会に受け入れられるまでを描いた物語は、その絵面通りのファンタジーのようでもあり、移民を描いた寓話のようでもあり。子どもたちがバスルームでパディントンとキャッキャして打ち解けて、その姿をみてブラウンさんの心が軟化するあたりはもうそれだけでうるっと来ちゃうし。後半のパディントン救出劇で子どもたちの特殊スキルが生かされたり、お母さんの描けなかった絵のピースが埋まったり、ブラウンさんが「パディントンは家族だ」って言うあたりなんかもうホント胸も目頭もあつくなってしまいましたよ。

ブラウンさん役の俳優さん、すっごく良く知ってる顔なんだけど誰だっけ誰だっけすごく最近観たしすごく親近感あるんだけどと思ったら、ダウントン・アビーの伯爵さまでした。吹き替え版で観たので古田新太さんの声だったもんだから、「伯爵さまの顔に古田さんの声……」と冒頭でしばらく混乱してました。悪役を演じてるのはニコール・キッドマンなんだけど、その元旦那トム・クルーズのミッション・インポッシブルをパロディにしてるのがおかしかったなあ。ニコール・キッドマンも懐が深いというか。

しかしパディントン駅とかブラウン家のつくりとかロンドンの町並みとか、美術や背景がいちいち素敵。ウェス・アンダーソンっぽいという感想もちらほら見かけたけど、意識してるんでしょうかね。本当に子どもの頃に読んだ児童文学の挿絵のようなファンタジー感で。「ああ、この世界に行ってみたいなぁ」と憧れてしまう絵面でした。BGVにしてTVで流しっぱなしにしたい映画です。