モンスターズ・ユニバーシティ

公開3日目に3歳の娘を連れて行ってきました。前作のモンスターズ・インクもすごい好きな作品なんですけど、これもう2002年公開とかで11年も前なんですね……!(驚愕) もうDVDで何度見たことか……っていうか誰かにDVD貸したまま帰ってこなくて誰に貸したのかすら忘れてしまって、二枚目を買い直したほど好きなんですよ……。

で、今回の作品はやはり11年の技術力か、CGが歴然とキレイになりました! 木漏れ日とかの照明感がすごいキレイだなーと思ったらやはりトイ・ストーリー3の堤大介氏がアートディレクションしてるのですね。あとランドールの肌の質感がやたらクリアになったような気が。

さてストーリーはというと、モンスターズ・インクの前日譚。まだ大学時代のサリーとマイクを描いたもの。エリートで、前作からは想像つかないほど横柄なサリーと、まったく怖くない(=才能がない)ということで半ば落ちこぼれ状態のマイク、最初は仲が悪かったふたりがどうやって親友になったのか……という物語。前作ではもう完全にライバルだったランドールはまだ入学当初はそこまで鼻につかず、むしろサリーよりマイクと仲が良い……というスタートなので、はてさてどうなるかというワクワク感もあり。

エリート集団のロアー・オメガ・ロアーや落ちこぼれ集団のウーズマ・カッパなどの描写は、まるでgleeのスクール・カースト。ロアーがアメフト部でピンクがチアでウーズマ…がニュー・ディレクションズですね……。そして「どんなに努力をして勉強しても、『怖がらせ屋』としての才能が無いものは落ちこぼれである」という世界観は、なんとなく美術大学のあり方を思い出しましたね。東京芸大の入学式で校長が話すという訓話「君達の殆どは芸術家にはなれません。しかし、君達の中にはほんの一握りの天才がいます。この学校はその一握りのためにあります」を、映画を見ながら思い出しました。子供向けアニメとして「努力してもどうにもならないことがある」というテーマはちょっとほろ苦くないかなあ、と思いながら見ていると、才能の壁は超えられなかったマイクも、ちょっと発想を変えることで夢を叶えるので、ちょっとホッとしましたけれどね。

もちろん充分に楽しんだのだけど、物足りなさがあるとすれば、「モンスターズ・インク」の前日譚というだけあって終盤にあまりスケール感が広がらないというか。欲を言えばクライマックスにもう一捻り欲しかった、というのが正直なところ。例えば前作だとドア格納庫に入った瞬間にあまりの広さに「ふわあああああ!」ってなったり、そこをスピーティーに移動しながらモンスター界と人間界を行ったり来たりするっていうスリリングな場面がものすごく興奮したんですよね。トイ・ストーリー2の空港やトイ・ストーリー3のゴミ焼却場とか、もう圧倒的に難易度の高い状況下でどうするか、みたいな場面が欲しかったんですよ。今回もまあ人間界に行っちゃってさあどうやって戻るかみたいな場面はあるんだけど、前作ほどの危機感を感じなかったというか。まあこれはマイクとサリーがなんだかんだ言って将来はモンスターズ・インクに入社してうまくやる、というのがわかっているからというのもあるんだろうけれど。前半の伏線がこんなところで回収!みたいなビックリももう少し欲しかったり。

ま、そんな文句も言いながらDVDは買うんですけどね!


http://www.disney.co.jp/monsters-university/home.html
監督:ダン・スキャンロン
製作総指揮:ジョン・ラセター
製作:コーリー・レイ
脚本:ダン・スキャンロン
ダニエル・ガーソン
ロバート・L. ベアード
音楽:ランディ・ニューマン