レ・ミゼラブル@帝国劇場(舞台/新演出版)

e+の貸切公演がハーフプライスで出ていたのでA席半額券で見て来ました。今年から演出が変わったということで期待半分不安半分で見に行きましたが、新演出のほうが良いところもあれば旧演出版の方が好みだったというところもあり、ざっくり言うと【プラスマイナスゼロ】といった印象です。

すごく良くなった! と思ったのは音響。2階席で見ていてもびっくりするほど音がクリアになったなあ、と思ったら、どうやら音響設計が変わったのだとか(アフタートーク音楽監督の話で判明)。他にも、アレンジやオケの編成も変わって、低音の厚みが増して重厚感が出たとか。やはりこれは生オケの醍醐味。カフェソングのところの蝋燭の演出なんかもキレイですごく良かった。

「旧演出版のほうが良かったなあ」と思ったのは、まず盆が一切回らなくなったこと。これによってスピーディに展開するところもあるのだけど、バリケードが回らなくなったので今まで見えていたものが見えなくなってしまった所も。それに単純に慣れてないので落ち着かない、というのもあり。これによりガブローシュの弾拾いシーンがまったく見えなくて歌声だけになったり(かろうじて撃たれる瞬間だけは顔が見えるけど)、アンジョルラス死亡シーンもあの「ぐるりんぱ」じゃなくなってしまったり。あと盆は関係ないけどジャベールの投身シーンがいままで横から見るアングルだったのに上から見るアングルの演出に変わったため、「落下してる」感じが伝わりにくくなったような気が。あれはジャベールが自殺するというストーリー知らずに見てたら「いまジャベールはなんでジタバタしてたん?」みたいな感じになるんじゃないのかなあ、と心配になったり。

冒頭の囚人のシーンが掘削じゃなくて船を引くのに変わっていたり、仮出獄許可証を破り捨ててからのタイトル文字表示とか、ファンテーヌの工場の場面の衣装が変わっていたりして「おや映画版みたいになったなあ」と思ったら、どうやら映画はこの新演出版をもとに作られたよう。なるほど。英国で舞台版の演出を一新→これを元に映画化→新演出版が日本上陸、という順番だったのですね。映画からレミゼに入った人にはこの新演出版のほうが馴染みが良さそう。

うーんしかし新演出と旧演出、どちらが好きかといわれたら旧演出に軍配が上がりそう。まあこれは見た回数が多くて愛着があるということなのだと思いますが。英国でも新演出版はツアー版として作られた、WEではずっと旧演出版を上演しているという話をみかけて「ああだから盆を回さないのか」と納得しました。盆のない劇場でも上演できるようになんでしょうかね。

http://www.tohostage.com/lesmiserables/
作●アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作●ヴィクトル・ユゴー  作詞●ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作●キャメロン・マッキントッシュ
演出●ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
翻訳●酒井洋子 訳詞●岩谷時子 プロデューサー●田口豪孝/坂本義和

ジャン・バルジャン:吉原光夫 ジャベール:川口竜也 マリウス:山崎育三郎 コゼット:石井久美子 テナルディエ:駒田一 マダム・テナルディエ:森公美子 エポニーヌ:昆夏美 ファンテーヌ:知念里奈 アンジョルラス:野島直人 ガブローシュ:鈴木知恵 リトルコゼット:近貞月乃 リトルエポニーヌ:武田有紀子