ミュージカル『メリー・ポピンズ』@東急シアターオーブ

メリー・ポピンズ公式ホームページより

今回日本公演の再演なのですが、私は初見です。いや、なんで初演でこれ見逃してたんでしょうね? マシューボーン共同演出なのに! 最高でした。最高でした!(2回言った)

ストーリーとしてはおなじみのメリーポピンズなんですが、それにしてもまあ演出がすごい。ウエストエンドのものなのかツアー版のものなのかはわかりませんが海外から持ってきたトラック何十台分のセットを使ってるとのことで、大きなセットが容赦なくゴリゴリ転換していくさまはそれだけで見応えがありました。家のセットもわざわざ「飛び出す絵本」ように屋根を折り畳んでるのが開いて出てくる仕掛けの装置になってて感動しましたね。テクニカルトラブルが出た話もほとんど見かけなかったように思いますが、おそらく裏方さんの人数もメンテにかかる工数も半端なかったのでは…と思いました。

サーキャメロンマッキントッシュの大型プロダクションが渋谷でこんな気軽に見られちゃうのありがたいですね…キャストもちゃんと歌える人で揃えてくれたので見応え聴きごたえありました! わさわさと大量に現れる大人数のアンサンブルがものすごい段取りこなしながら一糸乱れぬ振付を見せてくれるので「すごい!金がかかってる!」と気持ちよく金で殴られる気分になりました。満足。満足です!(2回言った)

客席もリピーターが多いのかここぞというとこでしっかり手拍子入れてくるし、ショーストップナンバーの拍手の大きいこと。二階バルコニー席で見てたのですが、客席の熱気が演者を盛り立ててる様子も観ていて気持ちよかったです。一幕のスーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスの一体感すごかった!二幕のステッピンタイムもほんと高揚感あって素晴らしかったですね。バートの天井ウォーク「すごい!」と口をあけて見てしまいました。大人数が力強く踊るナンバーだしあの曲のアレンジがイントロから最高だしで、なんかもう泣くとこじゃないのに「命の…かがやき…」と思いながら泣いてしまいました。

終盤のメリーと一家のお別れのシーン、幸福感とないまぜのさみしさ、劇場中に広がる星屑ライトの美しさ、バートの見せるメリーへの憧れと愛情と別れの悲しみと諦めとの混ざったような何とも言えない表情、そして客席の上をゆっくり飛んで消えていくメリー…なんだかもう本当に完璧なラストで胸がいっぱいになりましたよ。本当に夢と魔法の美しさと楽しさが詰まった舞台でした。素晴らしかった!

観劇後「これは子どもに見せたい!」「私もリピートしたい!」となって、リピーターチケット買って家族4人で観に行きました。4人分のS席チケット、リピーター割とはいえ結構な額でポチる瞬間一瞬ためらったんですが。でもこんだけの大型プロダクションの舞台をこの値段で観られるのむしろ安くない?ロンドン行かなくても観られるんだよ?みたいな気持ちでエイヤしてしまいましたよ。子どもたちも楽しんだようで何よりで、帰ってきてからしばらくスパカリ歌いこなそうと練習していました。

濱田めぐみさんと笹本玲奈さんのメリー両方観ましたがどちらも良かったですね。濱田さんのほうがやや人外ぽさがあるというかうっすら得体の知れない感じがあって英国文学感があるのですが、笹本さんのほうはもう少し親しみやすいキュートなメリーで、どちらも持ち味が違ってて良かったです。自分ひとりで観るなら濱田さんの歌で殴ってくる感じが好きだけど、子どもに見せるのは笹本さんで正解だった…みたいなことを思いました。バートは2回とも大貫勇輔さん。すごいジャンプ力〜。愛嬌あって誠実な印象のバートでよかったです。大型犬のようなかわいらしさ…。バードウーマンとミスアンドリュー、めちゃめちゃ歌うまだな…と思ってキャスト確認したら島田歌穂さん。うまいわけだよ!他のキャストのみなさんもみんな魅力的でした。歌にストレスのない素晴らしさ…。

そんなわけで大満足の公演でした。いつ公演中止になるかわからないこのご時世でこれだけの金のかかった大型興行打つのはほんとギャンブルだな…関係者もさぞ神経の擦り減る思いだったのでは…と思うのですが、東京公演無事完走できて本当によかったです。大阪公演も無事完走して、ひとりでも多くのお客さんに見てもらえますよう!