宝塚歌劇雪組「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」@東京宝塚劇場

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出典:宝塚歌劇公式サイト

 

この舞台については東京公演がコロナ禍の真っ只中で公演中止の影響を大きく受けてしまったため、とにかく「生で!観られて!良かった!」「千秋楽の!幕が上がって!本当に良かった!」みたいな気持ちしかわかないのですが。そうは言っても、公演中止前の割と冷静な気持ちで観られた時の気持ちを思い出して、なるべく客観的な感想を書き残しておこうと思います。

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NTLive2020「リーマン・トリロジー」

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出典:映画.com

いやーー面白かった! 評判に違わぬ内容で「上質の!演劇を!見た!」という満足感でいっぱいになれる作品でした。2回の休憩含めて3時間40分というかなりの長尺ですが、飽きることなく集中して観ることができました。

リーマン・ブラザーズ創始者であるリーマン一家が海を渡ってアメリカに移住してきた1844年から、2008年のリーマン・ショックまでを描いた物語。3人の俳優が何役も演じ分けながら、150年にわたるリーマン一族の栄枯盛衰を綴っていくという内容。経済のことがたいしてわからなくても、「ある一族の3代にわたる物語」として楽しめるんだけれども、まるで神話、あるいは王朝モノを見ているような荘厳さと重厚さもあるのは、「経済大国の創始者」「近現代の経済史の始祖」としての役割がリーマン家にあるからなんでしょうか。

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新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」ディレイビューイング(前編&後編)

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出典:「新作歌舞伎 風の谷のナウシカ」公式サイト

結論としては面白かったです!
昼夜通しの長い公演なので12月の上演時にはスケジュール的に観るのを断念していたのですが、ディレイビューイングだけはなんとかがんばって時間作りました。長尺の芝居だけあって全部が全部見せ場とはいかず、「すごくいい場面」もあれば「退屈を感じる場面」や「もうちょっと絵的になんとか…」と思う場面もあったり、というのが正直な感想ではあります。もう少し脚本演出ともにブラッシュアップの余地はありそう……とは思いつつも、それでも原作をうまいこと歌舞伎に仕立てていて、総じて楽しめる作品になってたと思います。七之助くんのクシャナ様っぷりと大詰の演出だけでも見る価値大いにあり!な作品だったのではないでしょうか。

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宝塚月組「出島小宇宙戦争」@東京建物BrilliaHall

f:id:lgmlgm:20200309002949p:plain出典:スポーツ報知

鳳月杏さん主演公演!東上!おめでとうございます!
いやーほんとちなつさん素敵でしたねかっこよかったですね……フィナーレの美しさになんかもう本編の感想などふっとんでしまいましたが……なんとか思い出そうと思います。谷貴也先生の3作目、江戸時代の日本っぽい架空のどこかを部隊にした物語。設定や各キャラクターの背景だけならはちゃめちゃで面白そうだし、舞台美術や衣装、装置の使い方なんかもすごくビジュアル面は良かったんでそれなりに楽しんだのですが、脚本……うん……なんだろうな、致命的に交通整理がアレというかなんというか……途中で集中力が切れて意識がとびそうになる瞬間がいくつか。終わった時点で完全にスペースキャット顔になっていましたね……。つまんなくはない、つまんなくはないんだけども、なんというかもうちょっと脚本がすっきりまとまっていればなあ、という気持ちでした。

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「ハスラーズ」

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予告編観て面白そう!と思ったんですが「思ったんと違う」のが出てきた、という感じですね。いや、別につまらなくはないし全然悪くはないんですけれど。サイトやポスターのビジュアル見る感じだと「個性豊かな女性7人のチームもの」だと思っちゃうし、予告編見た感じだと「ストリップ小屋を舞台にショーやダンスを交えて展開する痛快コンゲーム映画」だと思っちゃったんですよね。実際にはジェニファー・ロペスコンスタンス・ウーのふたりがメインでそれ以外のキャラの印象は薄いし、コンゲームというほど金を巻き上げる手口が凝ってるわけじゃなかったんですよ。まあ言うたらストリッパーたちが飲み屋で金持ちに薬盛ってボッタクリやってるってくらいの手口なので、その手口の部分に期待しちゃってたからちょっと肩透かしだった、という感じです。ゴージャスなエンタメ風に作った予告編ではありましたが、これも「JOKER」「パラサイト」あたりと共通するテーマ、貧富の格差や社会的弱者の物語なんですよね。どっちかというと実話をもとにしたしっかり社会派な映画だったなと思いました。そのつもりで観たかったなーと。

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「1917 命をかけた伝令」

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出典:Twitter @1917_moviejp

 

死ぬかと思った!!!
と思わずフォントサイズ大きくしてしまうくらいビビりました。物語としてはすごくシンプルで、伝令を任された主人公とその友人が敵陣を抜けて味方の別部隊に作戦の中止を伝えに行く……というだけの内容なんですが。ワンカット(に見えるように編集された)映像が話題ではあるものの、まあ途中で意識を失ったりして実際には一晩開けて翌朝まで時間が経過する感じですね。まあそう言っちゃうとつまんなそうに聞こえるかもしれないんですけど、本当に没入感がすごいです。凄すぎて中盤で「これは映画だから大丈夫、大丈夫、私はここで死んだりしない」と自分に言い聞かせないと観続けられないくらいの気持ちになりましたよ。個人的には。

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劇団☆新感線「偽義経冥界歌」@赤坂ACTシアター

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出典:SPICE

いやー中島かずきさんの純然たる新感線の新作っていつ以来ですか、もしかして蒼の乱以来……? 修羅天魔も新作っちゃ新作だけどあれは半分髑髏城だし。やーとにかく「新感線らしい新感線を!観た!」という嬉しい気持ちになりましたね。主役のバカなんだけどカッコいいとこも、悪役のスゴツヨぶりも、キレッキレのアクションも、(そして上演時間の長さも!)「This is 新感線!」という感じで楽しかったです。歌やダンスのミュージカル風シーンはやや少なかったですが、そのぶん殺陣が盛り盛りで「アクション活劇!」といった感じでしたね。歌は物語のキーとなるこの世とあの世をつなぐ静香の歌だけを聴かせる感じで、藤原さくらさんの声が印象に残る作品でした。

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