宝塚歌劇宙組「エル ハポンーイスパニアのサムライー/アクアヴィーテ!〜生命の水〜」

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出典:宝塚歌劇公式ホームページ GALLERY

 

「El Japon(エル ハポン)ーイスパニアのサムライー」は17世紀に仙台藩イスパニア(=スペイン)に派遣した慶長遣欧使節団の物語。和モノの和服とスペインの洋装が入り交じる和洋折衷の不思議なテイストの物語ですね。日本人奴隷の女性たちが各地の方言でセリフ言ったりもするんだけど、彼ら何語でしゃべってるんだろう……。慶長遣欧使節団の国王との交渉が膠着する間、メンバーの蒲田治道(真風涼帆)は宿屋の未亡人・カタリナ(星風まどか)と知り合い、彼女が大地主から嫌がらせを受けていることを知り、それを助ける……という勧善懲悪ヒーロー物。治道は治道で過去に好きな女性を助けられなかった過去を持ち、カタリナも夫を亡くしていて……とお互いにつらい過去を持つ男女、しかも片方が恋愛とかチャラいことには興味なさそうな武士で、これどうやってふたりにロマンスが生まれるんだろう???と思っていたのですが。しかも中盤までは割とシリアスな展開だったのに、終盤10分くらいで急にコメディなノリで急展開するから、なんかもうびっくりして幕が降りた瞬間つい笑いだしてしまいましたよね。いやー驚いた。「カタリナの夫は死亡届でてないから死んでない、治道はそこにおさまっちゃえ」みたいなトリッキーな展開にちょっと目が点になってしまいましたよ。最後こんな展開になるならもうちょっと途中までもギャグとか笑いの要素はさんで?? そうでないと突然のコメディに心の準備がなくてびっくりしちゃうよ!!

まあでもこういうのがいわゆる宝塚らしい鷹揚さというかなんというか、終わり良ければ全て良し的な、「まあいっか〜あはは〜楽しかったし」ってなっちゃいましたよね。脚本はまあいってみればガバガバなんだけど、でもそれぞれのキャラが立ってて「みんな幸せならまあいっか〜」となれるやつでした。トップの真風さん演じる治道はストイックなサムライで殺陣も決まってたし、二番手・芹香斗亜さん演じるアレハンドロもなんかいい加減そうな雰囲気のガンマンで後半のキーマンに。カタリナに言い寄る悪役・エリアスの桜木みなとさんはちょっといつものポジション感あって意外性に欠けたかな。良かったのは治道の命を狙う藤九郎の和希そらさんですかね。実にオタク好きする外見といい役柄といい最高でした。ラストでカタリナの夫としてイスパニアでの居場所を手に入れた治道はいいけど、一緒に残っちゃった藤九郎どうするんですかね。幕が降りた瞬間みんな「藤九郎の!立場は!」って心の中で叫んだと思う……

しかしあの展開で最後突然のウルトラCみたいにハッピーエンドになだれ込むのすごいですね、雪組ならまずああはならない気がしますよ、治道は打たれるか刺されるかして死ぬでしょうし、カタリナは地主の嫁として望まない人生を生きていくでしょうし、何の救いもないまま終わりそうな気がしてなりません。こんなウルトラCがありなら!雪組も!なんとかしてあげてよ!みたいな明後日な方向に謎の怒りが湧いてしまいましたが、それはさておき。

 

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出典:宝塚歌劇公式ホームページ GALLERY

 

「アクアヴィーテ!!」はウィスキーをテーマにしたショーということで、花組「Cocktail」「Sante!!」に続く藤井大介先生の酒ショーですね。いやー大介先生は大好きな酒のショーは外さないな!という印象でした。なんというか既視感というか大介先生の手癖100%という気がしなくもないんですが、だからこそいいというか。組ファンならこれ何度でも観られるショーじゃないでしょうかねえ、楽しかった!

一番好きだったのはタンゴの場面ですかねえ。スーツにハット、手にタバコ!最高!もう振付家みなくてもわかる、きっとヤンさんでしょう? 他の男役の手からタバコをとって自分でくわえる真風さんには変な声が出そうになりましたよね(というかTV中継みてたときにヒエッとなった)。ああかっこいい。好き。あとこのシーン「受動喫煙のタンゴ」と宙組ファンが呼んでて笑ってしまいました。そらああんなに受動喫煙させられたら死んでしまう。

あと今回2階席最後列だったんですけど、どセンターの席位置だったんですよね。まあびっくりするくらい真風さん芹香さんの視線が飛んでくる!オペラグラスごしに目があった(と思い込んだ)回数、数え切れないです。もう、オペラグラスのぞいてたら3分に一回くらいだれかの視線が飛んでくる席位置でした。たぶん生徒さんが「この場面ではここに目線」と決めてるポジションがそこなんでしょうけど。芹香さんの指差しウインク飛んできたときは隣の友人と「今!ここに!来たよね!」みたいな顔で目を見合わせて笑ってしまいましたよね。いやあコストパフォーマンス最高の席でした。ありがとうセディナさん……!

ありがとうセディナさんといえば同じ回を別の席でたまたま観てたお友だちが「桜木さんのサイン色紙当たっちゃったんだけど誰かお友だちにファンの人います?」とLINEをくれて、まさに私の隣に座ってる同行者が桜木さんファンだったものだから、無事サイン色紙受け渡しできてみんな幸せな気持ちになれましたよね。ありがとうセディナさん……