宝塚雪組『海辺のストルーエンセ』@KAAT

引用元:雪組・朝美絢が王妃と禁断の仲になる野心的な医者を熱演 『海辺のストルーエンセ』大阪公演開幕|まいどなニュース


デンマーク王室に仕えた医師ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセを題材にした指田珠子先生の新作。初日に見たらちょっとこなれてない部分もあって、場面の繋ぎにややぎこちなさがあったり、個々の役者の感情もうまく繋がってないように見える箇所もチラホラ。前半うまく芝居が波にのってないようにも見受けられたのが正直な感想。カーテンコールのみんなのホッとした表情や、あーさのコメントからしても、おそらくコロナかなにかで充分な稽古時間取れなかったんじゃないかな…という印象を受けました。


前半は比較的陽気なフレンチロックミュージカルな雰囲気で貧乏医師のストルーエンセがチャンスを掴んでゴリゴリのし上がっていく様子が描かれ、後半は権力を手に入れたストルーエンセの暴走と王妃カロリーネとの許されざる関係から破滅していく…という転落展開で、なんとなく「ひかりふる路」のロベスピエールを思い出す内容でもありました。国を良くしたいという志は高いものの、やってることはラスプーチン的(王家に入り込んで権力を振るう)なので、そら世間には指示されんわな…みたいな気持ちにもなり。


死んだ後はたいてい十字で掲げられてハケるパターンが多い宝塚において、ズルズル引きづられて荷物のように退場する主役、というのは新しいパターンだなと思いました。
ストルーエンセと国王のクリスチャン7世と王妃のカロリーネの関係性が、夫婦と間男というだけの関係ではなくてもうちょっと複雑な三角関係なので、演じる人の個性や関係性によって印象も変わりそうだなと思いました。なかなかに解釈の余白を残す脚本なのでまたブラッシュアップして他の人にも上演してほしいと思いました。

 

衣装は素敵で朝美絢さんのビジュアルがたいへん美しく、眼福!な公演でもありました。医者設定のあーさにメガネかけさせるのは反則にして販促ですね(初日にはなかったのに途中で追加になった模様)。2/10にも観たのですが、メガネで出てきた瞬間うしろのお客さんから「アッ…」と心の声が漏れてました。あとこの公演、パンフレットが大変美麗にしてヤバヤバのヤバなので後から朝美絢さんのファンになった方はキャトルでぜひお買い上げください。ドレスの女性の脚を抱いてるストルーエンセ先生の写真に「キャーッ!」となると思いますが、あの脚はタカラヅカニュースの終演後トークによると演出家の指田先生のおみ足だそうです(豆知識)。