2023年1月に観た芝居

 

1月3日 星組『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~/JAGUAR BEAT-ジャガービート-』@東京宝塚劇場

引用元:宝塚歌劇団公式ホームページ

「ディミトリ」は悲恋モノで泣かされました。ジョージアの民族衣装が素敵! 王女の不倫疑惑のくだりなど「いやいやいやいや」みたいなツッコミどころもあるものの、切ないストーリーで見応えありました。礼真琴さんがこういう受け身タイプの芝居するのも珍しいかな、いつもは運命を切り開いていく行動的な役柄が多い気がするので。


ジャガービート」は怪作。前日にNHKの放映観てたのでそんなに混乱はしなかったけど、サイトー先生の狂気と性癖が炸裂していて好みは分かれそう。いつものショーの構成と比べると変則的で「プロローグ→3場面ほどあって中詰→2場面ほどあってラインダンス、からのフィナーレ大階段」みたいな定形を崩しているので、おそらくヅカオタであればあるほど体内時計が狂って「いつまで続くの?」「永遠に終わらないのでは?」と思うやつでした。


星組らしいギラギラしたショーではあるけれど、正直いうと「娘役がヒロインで鳥で翼をもがれてその翼を男役たちがたらい回しにする」というシチュエーション、あんまり趣味が良くないな、とも思いました。翼をもいだ瞬間を決めポーズにするとヅカオタは反射的に拍手しちゃうんだけど、ここ拍手するタイミングちゃうやろ、ともおもっちゃうのよね。そのヒロインが後半車椅子で出てくる場面もあって、欠損フェチ的な趣味を感じてちょっとイヤだなあと思ったことは正直に記しておきます。まあ宝塚のショーはどうしても演出家の性癖披露みたいなところはありますが……。

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1月8日 Ntlive「レオポルトシュタット」@TOHOシネマズ横浜

引用元:NTLive「レオポルトシュタット」トニー賞受賞を祝って特別上映決定(動画あり) - ステージナタリー

さすがNTLiveというか、さすがトム・ストッパードというか、見ごたえの塊。登場人物の多さに冒頭で「相関図プリーズ…さっきの家系図を手元にください…!」ってなったし、把握した上でもう一回観たい気はするけど、さすがの見ごたえでした。馴染みのない単語がまあまあ出てくるので、用語解説とざっくり年表が欲しかった気はします。


ある家族を数世代に渡って定点観測するという意味ではKERAさんの「百年の秘密」を思い出したりもしたけど、舞台が1989〜1955年のウィーンでユダヤ人家族の物語だから中盤からの重みがすごい。でもシリアスな状況の中でも「あれそんな伏線だったんだ⁉︎」みたいな展開もあって少し笑ってしまった。


家系図にある名前とその享年、死因を読み上げていくラストの演出の切れ味すごかった…戦争を題材にした野田地図作品を見た後のような後味。しかし1900年代前半の激動っぷり半端ないなと思ったし、政治や戦争がいつ自分の生活に影響を及ぼしてくるかわからない現状にヒリヒリ来る作品だと思いました。

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1月15日 宙組『MAKAZE IZM』@東京国際フォーラムホールC

引用元:宙組公演 『MAKAZE IZM』 | 宝塚歌劇公式ホームページ


真風涼帆さんの退団前コンサート。これまでの主演作の曲を中心に構成された内容で、プレサヨナラショーの趣。しかしどうにもこうにも潤花ちゃんのはっちゃけたMCの印象が強いような…。TwitterでもだいぶMCが面白いことになってるというレポートが多かったのだけど、コンサートのメインの歌部分よりもMCの爆笑トークのほうが印象に残ってしまった。これだけ堂々と面白トークする娘役は前代未聞では…? 真風さんはもう長期だからそろそろだよねという感じだけど、潤花ちゃんはもう少し居残っても良かったのでは、などと思うなどしました。

 

1月15日夜 『ハリー・ポッターと呪いの子』@赤坂ACTシアター


2度目の観劇ですがトラブル中断があり残念な思い出に。どうしてもあのディメンターの演出が観たくてわざわざ2階席最前列を取ったのに、一番みたいところがまったく上演されず、演出が変わったこともアナウンスされないということで個人的には興行主の判断にお怒りです。詳細はツイートにのこしてあるので引用しておきます。

【連ツイ】昨日1/15ソワレの #舞台ハリポタ のトラブル、今後のために一応覚書としてメモ残しておきますね。初見だった方にも。 トラブルが起こったのはこの写真の場面(呪いの子のP219あたり)。第二幕第20場の三校対抗試合 湖 1995年。アルバスとスコーピウスが目的を果たし水面に上昇するところ

本来ふたりとも上昇して円の外にハケてく場面ですが、ひとりだけが円の上のほうに残ってワイヤーでぶらさがったまま観客の視界に残っています。 ここで舞台の床面にある水槽からスコーピウスが登場し、アンブリッジ校長と会話。(この辺からスタッフの話し声らしきものが何度も客席に聞こえ始めます)

 

タイムターナーで1995年に行き目的を果たしたはずなのに、一緒にいたアルバスは水面に現れず、スコーピウスは混乱。そしてホグワーツの校長がマクゴナガルではなくアンブリッジに変わり、ハリー・ポッターもアルバス・ポッターもいない世界線…というのがここでの会話で語られます。が、

 

ワイヤーにぶら下がったままのキャストがハケずに残ってるトラブルと、スタッフの声が気になって、正直アンブリッジとスコーピウスの会話が頭に入ってきません。たぶん「ハリー・ポッターが死んでる?」のスコーピウスのセリフのところ(呪いの子P221)まで上演したかな?と思いますが自信はないです

 

ここから前半ラストの見せ場シーンが来るはずだったのですが、ホグワーツロゴの黒い幕が降りて舞台を隠し、「点検のため舞台を中断いたします」の臨時アナウンス。続いて「20分間の休憩です(いつもの録音音声?)」のアナウンスが入り、客席はザワザワしつつも休憩へ。

 

【ネタバレ注意】本来はここで続いて上演されるはずだった場面(呪いの子P222)の説明を。ディメンターが舞台の上から現れ、スコーピウスは驚きます(引用twの写真2枚目)。さらに舞台だけでなく客席上にもコレが現れ、縦横無尽に飛び回る様子に客席も大いにどよめく場面です

【ネタバレ注意】ヴォルデモーの禍々しい声が響く中、アンブリッジが「ダンブルドアのテロリストはホグワーツの戦いで我々が倒した」ことを語り、舞台の上にはヴォルデモーのダークマークの禍々しいバナーが舞台にいくつも降りてきて、この世界はヴォルデモーが支配していることが描写されます

 

【ネタバレ注意】恐ろしい状況に変貌してしまった世界とスコーピウスの驚愕を見せて暗転、が本来の演出だったかなと思います。「歴史を修正したはずなのに、戻ると恐ろしく絶望的な状況に陥っている」「しかもアルバスが存在しない世界でスコーピウスだけが生きてる」という状況で休憩に入ります。

 

【ネタバレ注意】観客は客席の上を縦横無尽にふわふわ飛び回るディメンターの演出に驚き、さらにストーリーの絶望的展開に震え、「一体この先どうなっちゃうのー!?」という興奮のままで休憩を迎えるはず…でした。(そしてグッズ売り場もダークマークに染まってる事にニヤリとするはずでした)

 

この一連のツイートで【ネタバレ注意】になってる部分が1/15ソワレで上演されなかったシーンですね。点検が終わったらもう一度ここから上演するのかな?と思ったら、舞台を再開する旨のアナウンスが流れ(特にどの場面から再開という説明はなし)、普通にいつもの第二部が始まりました。

 

カーテンコールや終演後アナウンスでもこの件に触れられませんでした。休憩から再開のアナウンスのときに中断をお詫びするコメントはあったかもしれませんが、一部ラストの「ヴォルデモーに支配されたホグワーツ」のシーンをカットして上演したこと、については全く言及がなかったと記憶してます

 

検索やリプで見ると、どうやら、舞台にディメンターはいても客席上のディメンター浮遊の演出はない公演がこれまでにもあったとのこと。また別のトラブル(CMに使われている魔法の場面)でも30分中断ののちそのシーンを飛ばして再開され、特に説明はなかったとか。

 

ここから下は「個人の感想」です。機構トラブルは仕方ないし上演を続行してくれたことには感謝します。キャストの熱演にも拍手を。ただ、演出の変更はともかく「シーンをまるまるカット」の場合は、それについてひとこと説明くらいはしてほしいなと思いました。

 

せめてどういう状況があって次の場面に続くのかの補足と、機構トラブルによりやむなく一部のシーンを飛ばすこと(舞台の本来の姿ではない)ことを一言教えてほしいなと思いました。そうでないと「今日は残念だったがもう一度チケット取ってリベンジしたい」の気持ちになれないので。

 

私の呟きに反応してくださった方の中にも「あの場面」を見たくてあえて2階最前列のチケット取ってリピートする方がちらほらいらっしゃいますし、一部ラストはそのくらい価値のある場面だと私は思ってるのですが。制作者が「あの場面がなくても舞台は成立する」と思ったなら残念な話だな、と思いました

 

私がこれだけ長文を連ねているのは、1/15ソワレの #舞台ハリポタ の制作者の対応に誠意がないと感じたからです。制作者はチケットを買った観客の信頼を裏切らないで欲しいんです。

 

ハリー・ポッター呪いの子」の舞台自体はとても素晴らしいので、ぜひ多くの人に見に行ってもらってロングランを続けて欲しいな…の気持ちもあります。が、もしこうしたトラブルがたびたび起きてるのであればギャンブル性が高すぎるのであまり人に薦められない…とも思いました。

 

できたら機構トラブルやシーンのカットがあった日はリピーター割クーポンコードとか出したらいいと思うんですよね…。「お詫びに1000円引きクーポン出しますからまた来てください」とかやってくれたら、あの舞台の内容なら観客はほいほいリピートすると思うのですが。(少なくとも私は買いますよ)