劇団☆新感線「Vamp Bamboo Burn」

生田斗真くん主演作。売れっ子ジャニーズ俳優の客演とはいえ、昔から新感線を観てる身としては、登場シーンでバーン!とスポットライト浴びた彼に「おかえりーーーー!」と声をかけたい気分になりましたよね。そう、「スサノオ」にカゼヨミ役で出演したのがもう14年も前、まだ今のように主演クラスの売れっ子俳優ではない無名時代。「主演の松岡くんのバーターで出演させてもらってるJr.の子ね、はいはい」という程度の認識で観始めたものの、キラッキラのアイドルオーラを放ちながら生き生きと楽しそうにバカをやってる少年に、思わずキャスト表見返して名前を確認し「生田斗真……いくたとうま……覚えましたし……」となった新感線ファンは多かったはず。そして、インタビューやバラエティ番組に出るたびに俳優を志すきっかけとして決まって新感線のこの舞台を挙げてくれた彼には、名誉準劇団員として応援したい気持ちになったわけで。チケットの取りにくさとしては微量のうらめしさもありつつも、心から「おかえり」の気持ちで拍手を送りましたよ。

【以下、ネタバレ注意です】

物語の大筋は「遠い昔の平安時代かぐや姫に惚れた吸血鬼の藤志櫻が彼女の生まれ変わりを待ち続けて生きながらえ、現代ではビジュアル系バンドのボーカルとして生きていた」という設定。荒唐無稽な設定や衣装のテイストなど、「メタルマクベス」を思い出す雰囲気。クドカン脚本だからそりゃそうか。やがて物語には占い師のマダムや沖縄の音楽フェス、ヤクザの抗争も絡んでくる謎の展開。かぐや姫とそっくりな看護師にようやく出会ったものの、転生したからといって同じ姿になるとは限らず、かぐや姫の魂はナメクジ連合の京次郎に宿っていて、しかも彼女(彼)はかつて恋人を殺した藤志櫻を憎んでいた……と。かなり情報量多目で主人公の性格なみにトゥーマッチな物語で、大筋は把握できても細部まではちょっと記憶できない感じ。もう一回観たらすっきり飲み込めるんだろうけれど。

クドカンはやっぱり生田斗真くんにあて書きするとちょっとバカっぽいキャラになるんだなあ、なんて思ったり。他の映画やドラマではもうちょっとスマートな役が多いのに、なんでクドカンの本ではこうもウザ目なキャラになってしまうんだろう(笑)。そしてちょっとびっくりしたのは中村倫也くん。前に古田さん主演のロッキー・ホラー・ショーに出てたのくらいしか観てなかったので、「えっ誰あの美形の人!」ってなっちゃったよね。イメージが違いすぎて。かぐや姫が転生したのが美少年で、それを美形吸血鬼が1000年前から探してる、って、どんだけ腐女子ウケする設定なのさ!と心の中で思わずツッコミを入れてしまったよ……。もう完全にヒロインが中村倫也だもの……。ヒロイン枠の小池栄子姉さんはむしろカッコよすぎるし、宝塚で言うなら男役二番手が栄子姉さん、娘役トップが中村倫也だな、と思いましたよね。

あーしかし時間と金とチケット運が許すならもう一回観たかった。もうちょっとちゃんとストーリーを追いたい……。いちおう映像収録はあったらしいけれど、商品化は未定なんですよね。ジャニーズ主演だと円盤化もゲキシネも難しいのだろうか。うーん。