「キンキーブーツ」来日版@シアターオーブ


出典:エントレ:「最高にハッピー! 元気をもらえる! ミュージカル「キンキーブーツ」来日版 観劇レビュー」

控えめに言って最高、というのはこういう舞台を観たときに使うんでしょうかね。ついこないだ日本版を見たところなので展開も演出もわかってるはずなのに、次々と押し寄せる多幸感に胸がいっぱいになってしまいました。

基本的に脚本も演出も振付も衣装もなにもかも日本版と一緒、演じるキャストだけが違うという来日版なのですが、いやー。あのローラとエンジェルスの迫力! とにかく背が高い、手足が長い、つまりダンスの迫力が数割増し、という感じでした。Sex in the heelで足を上げたときのあの高さ、もう「わっ」と変な声が出そうでしたよ。まあ身体が反る反る。歌舞伎の女形が後ろ向きに反り返って拍手を浴びる型があるけれど、アレみたいにローラが反り返る瞬間があって「ワー!」と思いましたね。すごいすごい。

このダンスと歌の迫力に、思わず日本版より来日版のほうが凄い……?と思いかけましたけど、冷静に観るとやっぱりそうとも言い切れない部分もありまして。セリフで展開する部分の芝居については、やはり日本語のセリフのほうが伝わりやすい気がしました。また同じ人種であるせいか表情に現れる感情の部分も日本版のほうがぐっと響く感じであったり。そして一番違いを感じたのはローラが男性の服を来て工場に入ってくる場面。三浦春馬ローラはもう見るからに居心地が悪そうで自信無さげで、ドラァグクイーンの衣装やメイクは本当はナイーブな内面を守るための鎧だったのだと一瞬で気づかせるあの表情が良かったのです。日本版のローラのほうがより複雑で奥行きのある人物像だったなあ、と。歌の声量やダンスの迫力などのパフォーマンス面は来日版のローラのほうが上かなーと思ったので(いや三浦春馬ローラも十分凄かったんだけど、来日版ローラはほんとすごかった)、それぞれにそれぞれの魅力がありましたね。歌の場面については英語交じりの歌詞と音響の難のせいで正直日本版は歌詞が聞き取りづらい面もあり、歌詞字幕が読める来日版のほうが詞の意味が把握しやすいという面もありました。いや本当にどっちも一長一短ですね。

まあそれにしても観れば観るほど好きになる作品ですね。なんならもうオープニングナンバーから感動してうっすら泣いてましたし、「Land of Lola」「Sex in the heel」のローラ&エンジェルスのパフォーマンスにはカッコよすぎて口ポカーン開いてましたし。チャーリーとローラが心を通わせる「Not My Father's Son」にはもう涙しかなかったし、ベルトコンベアのパフォーマンス「Everybody Say Yeah」では楽しすぎて踊り出したいのをガマンするレベルだったし。ドンとローラがボクシングで血闘する場面の「In This Corner」でソロを歌うエンジェルもすごい迫力でびっくり。老人ホームの慰問でローラが歌う「Hold Me in Your Heart」もあそこにいるのがお父さんだと知ってるからもう前よりもより深く詞の意味が刺さるし、最後の「Raise You Up / Just Be」はもう「待ってましたァァァァァ」って気分でいっぱいでほんと幸せすぎて頭のネジが飛ぶ勢いでしたよね。はあ、こうして思い出して書いてるだけでも感動を思い出して涙が出てきそう。本当に幸せでした。日本版の再演ないかなー!ありますように!