「ビリー・エリオット」@赤坂ACTシアター

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出典:ステージナタリー

ミュージカル版ビリーエリオット、ウエストエンド版は映像で見ていますが(感想はこちら)、日本版は初演を見逃しているので今回が初見です。既に何度も見たような気がしてましたけど、考えてみればこの作品を生で観るのは今回が初めてですね。ウエストエンド版の衣装や装置もそのまま、ほぼほぼ同じ演出なので見応えありました。終焉を迎えようとする炭坑街の人々の様子と、バレエダンサーを夢見る少年の対比を描き出す演出が本当に素晴らしくて、ほろ苦さはありつつも夢のある名作だと思います。何度見てもぼろぼろ泣いちゃう。

そしてウエストエンド版を見たときに「日本でこんだけ歌って踊れて芝居のできる子がいるだろうか」と正直思ったんですけど、いやーいるもんですね! 多少段取りめいたところは透けて見えたのが正直なところではあるけれど、あの年齢でこれだけの芝居と歌とダンスをこなせるのすごくないですか? ちょうどうちの上の子がビリーと同世代になってしまったので、舞台のセンターであれだけの芝居してるだけでおばちゃんは泣いてしまいます。たとえ歌がうまいとかダンスが踊れるとかの素地があったとしても、10代前半の子供があれだけできるようになるまでにはどれだけの稽古を重ねたんだろうと、その時間を思って「尊い…」と拝んでしまいたくなる気持ちでした。

コロナで一旦公演中止が決まった時は、他の公演の中止を聞いた時よりも一層やり切れない気持ちになりましたが、こうしてリスケしつつも無事に幕が上がって本当に良かったです。私はひとりのビリーしか観ることはできなかったけれど、4人のビリーたち(そしてマイケルたちも)が、ちゃんとお客さんから拍手をもらうことができて本当に本当に良かったなと思います。あの「お客さんの拍手でいっぱいの劇場」は、本当に素晴らしい空間だったなあ、と、いま思い返しても胸が熱くなります。これを書いている今日が大阪公演の千秋楽なのですが、今回は公演中止になることなく最後までみんなが完走できたこと、本当に良かったと思います。おめでとうございます!

川口調くんのビリー、素晴らしかったです。映像版のエリオット・ハンナくんは少し影があってはじめから少し屈折した感じのあるビリーでしたが、川口くんは子どもらしい素直な感じのビリーでした。ふてくされてるところもかわいい。マイケルは菊田歩夢くん。タップのシーン可愛くてよかったですねえ、近くの席の小学生くらいの女の子が、タップの場面がはじまるなり前の空席の背もたれから前に顔を出す勢いで前のめりになっていたので、「良いものを見たなあ」と思いました。お父さん役の橋本さとしさん、優しさと愛敬あふれるパパでした。頑固みが薄くて最初からもうビリーのために折れてくれそうな気配が見えてたような。ウィルキンソン先生の安蘭けいさんも良かった。タバコふかして言葉も荒っぽくてやさぐれ感ありつつも、でもビリーのために一生懸命になってくれる素敵な先生。ラストの「私の教えたことは全て忘れなさい」の言葉、それがダンサーにとっての正解なんだろうと知りつつも泣けてしまう。良かったです!

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