2023年3月に観た芝居

この月は忙しかった…!とにかく似たような客層の公演数が多くて特にミュージカルオタクが忙しすぎて死んでましたよね…。

3月4日夜「笑の大学」@PARCO劇場

引用元:PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「笑の大学」フォトコールより。 - 内野聖陽&瀬戸康史「笑の大学」間もなく開幕、 三谷幸喜が太鼓判「面白いですよ」 [画像・動画ギャラリー 2/11] - ステージナタリー


検閲官役に内野聖陽さん、座付き作家に瀬戸康史さん。いやー贅沢な時間であった。上手い役者がふたりぶつかり合うのを堪能する110分。初演も映画も英国版も見てるから次に何が起こるかわかってるのに、それでも笑ったりハラハラしたり緊張したり。何より三谷さんの脚本家としての矜持にグッとくる。内野さんのほうがキャリアあるだけに若手の瀬戸さん大丈夫かな…とちょっと心配していたのだけど、その瀬戸さんの芝居がとても良かった…テクニックというよりは心根でぶつかっていく感じの芝居にグッと来た。

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3月5日昼 宝塚花組うたかたの恋/ENCHANTEMENT」

引用元:宝塚花組公演「うたかたの恋」開幕 トップスター柚香光がみせる、貴公子の美|文化|神戸新聞NEXT


ヅカオタにはオープニングナンバーが有名すぎるけど(愛月ひかるさんもサヨナラショーでやってましたね)、実は見るのは初めて。1983年初演作ということで古式ゆかしき宝塚という感じ。時代背景はエリザベート見ていればハプスブルグ家についてはご存知のとおりなので「わかる…わかるぞ!」みたいな気持ちになりますね。
マリー・ヴェッツェラはもうちょっとおぼこい若手の娘役に描かれた役じゃないのかな、きっちりキャリア重ねたまどかちゃんにはどうか…?という気がしなくもないけど、まあさすがに上手く演じておられましたね。


「ENCHANTEMENT」は野口くんにしてはおとなしめかな…と思わなくもないけれど、華やかなショーで楽しかったです。ここんとこずっと月や雪メインに観てたので、ゴリゴリに客を釣ってくる花男のファンサに「すまんがその色気をしまってくれんか、わしには強すぎる」みたいな気持ちになりました。(S席で観てたら死ぬね?)

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3月18日昼 ナイロン100℃『Don't freak out』@ザ・スズナリ

引用元:ナイロン100℃結成30周年記念公演 第1弾 ナイロン100℃ 48th SESSION「Don't freak out」より。(撮影:桜井隆幸) - 松永玲子・村岡希美ら出演、ナイロン100℃のレトロホラー「Don't freak out」幕開け [画像ギャラリー 3/11] - ステージナタリー

 

まるで横溝正史みたいな世界観で、『しびれ雲』では完全に除去されてた毒と狂気と悪夢がこっちにはこれでもかと詰まってましたね。なるほど確かにこれはスズナリで観たい芝居…。映像やセットの使い方がうまくてしびれる。見ごたえのあるいい地獄でした。白塗りアングラメイクも舞台美術も良かった。


しかしスズナリは久しぶり。最近日比谷の劇場ばかり行ってるから、このぎゅうぎゅうに詰め込まれた座席環境に「ありえねぇ」「懐かしい」の気持ちが同時に沸いた…。
「お客様同士の間隔は充分空けていただき…」というアナウンスが流れて、「いやいやいやいや」みたいな笑いが起きましたよ…

 

3月18日夜『ジキル&ハイド』@東京国際フォーラムホールC

引用元:【動画・写真・コメント】新たな歴史を刻む、ミュージカル『ジキル&ハイド』絶賛上演中!【石丸幹二×柿澤勇人】 | 株式会社ホリプロのプレスリリース


初演ぶりのジキハイかな? 噂には聞いてたけど柿澤勇人氏のジキル→ハイドへの変身シーンが素晴らしくて心の中でやんややんやと拍手喝采しました。床とお友だちとは聞いていたけど見事なダイナミック床ローリング芸でありましたよ。あまりに想像以上の転がりぶりだったからあの瞬間もうチケット代の元取れたと思いました…


そして真彩ちゃんのルーシーね!マルシアさんのルーシーしか知らないんだけどまるで別の役だった。知能的にボーダーで搾取される人生しか知らない感じの痛々しさよ…娼婦の仕事にも暴力にも慣れているのにハイド氏には本能的に怯えてる感じも良かった。
鹿賀×マルシアコンビの初演しか観てないから、柿澤×真彩は全然雰囲気違ってて新鮮でした。真彩ちゃん観たさに行ったけど柿澤さんもとても良かった…満足…

(だけどルーシーが憐れで可哀想すぎてつらい)(最後宝塚みたいにミラーボール回してフィナーレやってくれと思いました)

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3月21日昼『太平洋序曲』@日生劇場

引用元:黒船来航、“日本の視点”を多彩な楽曲で描く~ミュージカル『太平洋序曲』ゲネプロレポート | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス


舞台美術がとにかく洗練されてて美しい!ソンドハイム先生の超絶変態メロディが正確な音程でありがたい!山本耕史の扇さばき!絵面がいい!
……など良いとこいっぱいあるんだけど、個人的には演出家の描きたいテーマや主張の骨格は亜門さん版の方がぐっと伝わったかなという印象でした。正直あんまり心に響かなかったというか。難しいね…

「Pretty Lady」あんな嫌なナンバーだったんだな…って鳥肌たちました…。美しいメロディだし舞台上で見た目では何もおぞましいことは起こってないんだけど、綺麗な和音が少しズレて不協和音になった瞬間に「あ、これ目の前の男に犯されるな」って理解る瞬間の嫌さが音で伝わってきて「怖〜!」ってなりました。

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3月21日夜 ミュージカル『おとこたち』@PARCO劇場

引用元:ミュージカル「おとこたち」 | PARCO STAGE -パルコステージ-


ハイバイ初演を見逃してるので初見です。途中までゆるい気持ちで笑いながら観てたんだけど、あの暴力的な音声データのあたりから気持ちが打ちのめされて「いまニコニコ手拍子する気分ちゃうねん…」の気持ちでラストを迎えてしまった。面白キツくて面白ツラかった…。
ミュージカルというよりは音楽劇表記の方がよかったのでは、と思わなくもなかったけど、大原櫻子ちゃん吉原光夫さんの歌声は一気に場の空気をミュージカルにしますね。PARCO劇場にはもはやオーバースペックではと思うような、吉原さんやさとっさんのクソデカボイス、元気が出ます。

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3月24日夜 『マリー・キュリー』@銀河劇場

引用元:愛希れいか主演、ミュージカル『マリー・キュリー』開幕! | えんぶの情報サイト 演劇キック


いやー良かったー…ミュオタの皆さんが「今忙しくてそれどころじゃないのわかるわかるけどどうにかしてねじ込んで」ってみんな言うからよほど良いんだろうなとは思ったけど、ほんとそれでした。薦めてくれたTwitterのみなさんありがとう。
愛希さんのマリーよかった。飾りっけのない化学オタクなんだけど内面の美しさが滲み出るような凛とした立ち姿。ソルボンヌ大学の「ここに女性用トイレはない」の男尊女卑描写で一気に感情移入しちゃう。後半涙で顔くしゃくしゃにしながらの熱演なのに歌がブレないのさすが。


そして夫ピエールの上山竜治さんがとても素晴らしかった!死んだ後に出てきてマリーを支えて優しく包む場面、あの優しく慈しむ手つきにピエールの心情が現れていてほんと泣いた。こないだまでルキーニ役で愛希さんのこと殺してませんでしたっけ…?
ルーベンの屋良朝幸さんも良かったなあー、カテコで出てきた時に一瞬「おめーには拍手してやんねーよ!」みたいな気持ちになるほどの憎ったらしさで、ほんと嫌なヤツでした。ナイスヒール。


清水くるみさんアンヌも血の通った芝居でマリーとの友情に泣いた…。2人でキャッキャしてるところの希望に満ちた空気と後半のマリーを責める場面の落差ほんと辛い。笑顔ひとつでパァッと空気を陽にしてくれる存在でまさに「光」だった…
銀河劇場はアクセスが悪くて、どうしても行くのにめんどくささが勝ってしまう劇場なんだけど(あまりに久々に行ったらりんかい線の駅から迷ってしまった)、これくらいの規模の作品にはとても良い劇場だな…と思いました。なんならバンズヴィジットもこのサイズ感で観たかったよ

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3月26日昼『ジェーンエア』@東京芸術劇場プレイハウス

引用元:ライブ配信前にチェック!『ジェーン・エア』あらすじ・見どころ解説|梅田芸術劇場


演出も音楽も俳優も雰囲気も素晴らしかったけれど、なんかうまく今の気分に刺さらなかったなーという感想。なんでだろうな…。「結婚式にのこのこやってきた新郎のくせに!『実はキチガイの妻がいるから結婚できません』じゃねえんだわ!バカか!」と心のツッコミが勝ってしまったような。原作通りなんだけれどもね。
2階席からの観劇だったのでいまいち乗り切れないのもあったのかも。

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3月26日夜『マチルダ』@東急シアターオーブ

引用元:ミュージカル「マチルダ」フォトコールより。 - 4人のマチルダを筆頭に子供たちが奮闘!ミュージカル「マチルダ」日本初演のプレビュー公演が開幕 [画像ギャラリー 12/18] - ステージナタリー


子どもが舞台に立って踊ってるだけで、それはもう赤子の手をひねるように簡単に泣く私ですよ。子どもに付き合ってネトフリ版を死ぬほど観たので、映像にないナンバーが新鮮で楽しかった!トランチブルもワームウッド夫妻も、怖さよりコミカルさが勝つのでネトフリ版よりも安心して観てられた。全キャスト観たいな…
ミスハニーの咲妃みゆちゃんさすがの上手さ。こういう抑圧された状況のキャラクターほんとうまいよねゆうみちゃんは。

チルダ、キダルト演出で子役は三役のみと聞いていたけどアマンダ役にもマチルダ役の子が入ってましたね。しかし、台詞がそこそこあるラベンダー役あたりも子役だった方が良かったんじゃないかなーと思ったのが正直なところ。そらまあ体調管理や制作面で色々大人の方が都合がいいのはわかるのだけれど…

この日はカーテンコール写真撮影&SNS投稿OKの日でした。

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